コラム

男性の育休取得をどう考える?企業の取り組みは?

■子育て支援強化に取り組みが求められる企業とその現実

少子高齢化で労働人口が減少している日本にあっては、官民あげての少子化対策が推進されています。
企業においては業種を問わず、人材不足に悩まされているのが現状です。
現時点での人材確保のうえで、働きやすい環境づくりは不可欠です。
さらに子育て支援策を推進することで、将来の人材確保につなげ、企業の安定成長を模索していかなければなりません。
そのための子育て支援策として各企業では、育児休業制度を延長したり、時短勤務を認めたり、産休や育休後の職場復帰がしやすい支援制度や社内保育所の設置などさまざまな取り組みがなされています。
女性が子どもを産み、育てながら働きやすい環境の整備が少しずつ進んでいる中、二の足を踏んでいるのが男性の育児休暇制度の導入や実践的な取り組みです。
かつての日本では男性は外で働き、女性は家庭で子育てに専念するという風習がありました。
しかし、今の時代は女性の社会進出が進み、共働き世帯が増えています。
そのため、育児休暇制度も女性だけではなく、男性も取得できるようにすることが、働きたい女性の職場復帰を叶え、育児の分担につなげることができます。
最近では男性が会社を辞めて育児に専念し、女性が職場復帰を果たして稼ぐという専業主夫家庭も登場していますが、多くの家庭では子育てをするためにも共働きによる収入が必要となっています。
子育てにかかる費用が増大し、一方でかつての時代のように年齢とともに右肩上がりの収入増が期待できない中、子どもを産み育てるにも夫婦が働き続けられる環境が必要です。
少子化問題を解決するには、複数の子どもを産むことが期待されますが、実際には収入が少ないから1人が精一杯という家庭は少なくありません。
ですが、収入が許すなら複数の子どもが欲しいと希望している夫婦は多いのです。
子育てのために女性が仕事を辞めざるを得ない状態を防ぎ、将来の見通しを立てながら、計画的に複数の子どもを持てるようにするためにも、女性だけでなく、男性も育児休暇制度を利用しやすい環境整備が求められています。

 

■育児休暇があっても取れない男性が多い理由

男性にも育休を導入する企業は増えているものの、実際に取得した人はほとんどいないというのが多くの企業の現状です。
子どもが生まれても育休を取得しなかった男性に、その理由を聞くと、よく聞かれるのが次のような事情です。
女性はともかく、男性が育休を取得できる雰囲気が職場になく、言い出しにくかったというケース、男性が取得した前例がないから取得しにくかったというケースもあります。
自分が担当する仕事が忙しすぎて、とても取得できる状況になかったという方もいれば、自分が休むことで同僚や職場の負担が増すから取得は難しい、人不足でとても休めないなど、仕事や職場のことを考えてしまう方も少なくありません。
管理職や店長などの職にあり、責任がある立場だから取れないという方もいれば、長期で休暇を取ることで復帰後にポジションが残されているか心配という方や昇進や昇格に影響するかもしれないと不安で取れないという、仕事への影響や将来のことを考える方もいます。
育児休暇制度では一定の給料が保障されるものの、本来の月給よりは減少してしまうため、収入が減るから無理という現実的な不安を訴える方もいます。
家族が1人増えて生活費の負担が増し、これから子育てにお金がかかり、住宅の取得に向けての資金づくりや住宅ローンの返済を考えると、少しでも収入を確保しておきたいというのが本音でしょう。
低収入の若い世代も増えている中、共働きしないととても生活が成り立たない状況だから、奥さんが育児休暇を取るだけで限界というのが実情です。

 

■男性の育児休暇を促進すべき理由

少子化対策のために子育て支援策を推進しても、人材の不足は保育士も同様で、保育所不足による待機児童問題も深刻です。
女性が職場復帰をしたくても保育所が見つからなければ、職場復帰ができず、場合によってはいったん退職せざるを得ないケースもあります。
もし、男性が育児休暇制度を取得できれば、奥さんと交代で取得することで、奥さんがひとまず職場に復帰した間、パパが子どもの面倒を見ることが可能です。
その間に保育所を見つけることができれば、次の年度にはパパも職場復帰を果たせます。
交互に育休を取ることができれば、お互いの職場のポジションも維持でき、収入減も防げます。
そうすれば、2人目も産める環境が整い、少子化を食い止めることにもつながるのです。

 

■男性社員の育休が当たり前になった会社の事例

とはいえ、男性向けに育児休暇制度を導入しても、職場の雰囲気や上司の反応を気にして取れないという男性は少なくありません。
男性の育休取得が当たり前という、とある有名な種苗メーカーでは社長主導の育休促進が図られています。
子どもができた男性社員がいると聞くと、社長が職場にやってきます。
そして、「お子さんの誕生おめでとう。育児休業取るよね。」と上司や同僚の前で言い放つのです。
そして、社長は上司の顔をちらりと見ます。
社長の命令なのですから、誰も反対はできません。
もっとも、ここまでしないと取得ができないのが、今の日本企業の現実です。
どうやったら、取得がしやすくなるのか、労務部門や法務部門をはじめ、現場も一体になって全社的に取り組まなくてはなりません。

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