コラム

社員の無断欠勤、企業はどう対応するべきか

■無断欠勤を続ける社員が現れたら

連絡もなしに無断欠勤を続ける社員が現れたら、そんないい加減な社員はいらないとすぐに解雇したくなる企業や経営者、上司もいるかもしれません。
ですが、まずはなぜ無断欠勤をしているのか、事情や状態を確かめる必要があります。
単なる業務放棄のケースは少なく、トラブルに巻き込まれていたり、体調が悪かったりするケースは少なくありません。
近年では職場の人間関係に悩んでいる場合やパワハラやセクハラの被害にあって出社ができなくなっているケースも増えています。
さらには自らが会社の業務で不正などを行い、姿をくらましてしまうケースや会社の業務とは関係ないところで犯罪などを犯し、逃亡しているケースなどもあり得ます。

 

■連絡を取る努力をして事情や理由を確認しよう

どんな事情で無断欠勤をしているのか、まずは確認を取る必要があります。
一人暮らしの社員などの場合、体調を崩して倒れている場合や突然の発作などで亡くなっているケース、事件に巻き込まれて殺されているなど最悪のケースもあるかもしれません。
まずは、安否確認をすることが求められます。
本人の連絡先に電話、メールなどを入れ、連絡を取る努力をしましょう。

 

■連絡が取れない場合の対処法

一向に連絡が取れない場合には家族や雇用契約において身元保証人などに指定されている人に連絡を取り、本人と連絡を取ってくれるように依頼しましょう。
家族や身元保証人との連絡が取れない場合や家族が連絡しても応答がない場合、遠方に暮らしている、高齢などの事情ですぐに本人の元に家族が駆けつけられない場合などは、自宅訪問をする必要も生じます。
その際は上司や同僚など最低でも2人で赴くか、賃貸住宅の場合には管理人さんや大家さん、不動産会社などの人にも立ち会ってもらいましょう。
具合が悪くて倒れていた場合にはすぐに救急車を手配し、万が一、殺されていた場合や死亡していたケースでは警察への連絡も必要になります。
本人がおらず、行方不明になっているケースや犯罪やトラブルに巻き込まれている可能性があるなら、家族に連絡を取ったうえで、家族から警察への連絡や相談をしてもらい、行方不明者の捜索や犯罪捜査をしてもらう必要があります。

 

■メンタルヘルスの問題で無断欠勤をしているなら

本人と連絡が取れた結果、仕事の悩みや人間関係のトラブル、上司や取引先、顧客などからのパワハラやセクハラなどに悩み、メンタルヘルスを害して会社に来られなくなっていると判明した場合はどうすれば良いのでしょうか。
もう仕事はできないだろうとすぐに解雇をすることや自主退職を促してはいけません。
後日、不当解雇で訴えられる場合や結果として自殺をするなどして家族から訴えられる可能性もあります。
メンタルヘルスを病んでいる場合には、企業の労務部門と協力し、専属の産業医やメンタルヘルスカウンセラーなどと連携して、精神的なサポートを行うようにしましょう。
医師の判断の結果、休養が必要と判断された場合には、無断欠勤を続けるのではなく、正式に休職手続きを取るようにアドバイスをします。
病気による休職期間は健康保険から一定の給料も保障され、生活も安定できますし、状態が良くなれば職場復帰ができる身分も保障されるので、本人にとってメリットです。
企業としても無断欠勤を続けられるより、状況が把握できるので、担当していた業務を他のスタッフに割り当てができる場合や業務の穴を埋めやすくなります。
産業医やカウンセラーを通じた支援を行いながら、職場復帰を希望する際のサポート体制を構築できるよう、現場と労務部門や法務部門が協力し合って、問題の解決に努めなくてはなりません。
特に職場内でのパワハラやセクハラが原因の場合には、原因となった上司や社員への改善指導や処遇をどうするか、労務部門や法務部門、顧問弁護士などの専門家とともに検討し、適切な対処を行い、休職した社員が安心して職場復帰ができる環境整備に努める必要があります。

 

■犯罪の張本人なら

無断欠勤の理由が業務とは関係ないところで、何らかの罪を犯したことで逃亡しているといった場合は、犯人であることが明らかになり次第、解雇もできます。
雇用契約における懲戒事由に該当するのが一般的だからです。
また、業務上の横領や背任、金庫からの現金の窃盗や会社の商品の窃盗、顧客情報の転売やクレジットカード情報を利用した窃盗や詐欺などを行ったことで雲隠れしていた場合には、即解雇が可能です。
警察に通報して刑事責任を追及してもらうとともに、会社に生じた損害については別途、民事責任を追及する必要があります。
顧問弁護士に相談し、法務部門と協力し合いながら、解雇に加えて、責任追及をいかにしていくかを検討しましょう。
また、社員の行動により、取引先や顧客に損失や損害が生じた場合には、使用者責任のもと、会社としてどう賠償をするかを顧問弁護士と法務部門で検討し、適切な対応を採らなくてはなりません。

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