■新型コロナに関連するハラスメント
普段は温厚な性格の持ち主が新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、コロナハラスメントに走ってしまうケースは全国で認められています。
省略してコロハラとも呼ばれており、医療関係者、小売店スタッフ、宅配スタッフなどを対象にハラスメントが展開される事例が目立ちます。
ハラスメントはいじめと本質的に似ており、企業が把握できない状態で展開されることが数多くあるのです。
当事者に対して直接的に暴言や差別的発言を吐いたり、SNSを通して悪口・嫌がらせをしたりするケースは少なくありません。
社内でコロナハラスメントが発生すれば、企業の信用の低下につながる可能性があります。
しかし企業がすべての従業員の言動を把握できるわけではありません。
目の届かないところで、コロハラが展開されている事例は少なくないのです。
■なぜコロナハラスメントが発生するのか?
コロナハラスメントが発生する最大の理由は不安や恐怖、ストレスにあると言われています。
普段は温厚を装っている人でも、いざという場面で本性が出てくることは多いです。
こうした場合は本性こそがその人の性質だと考えることができます。
いずれにしても、新型コロナを理由にした嫌がらせ、不当な扱いはハラスメントに該当します。
業務とは直接関係のないことを持ちだし、相手を責めるのは社会人として失格です。
ハラスメントは業務の効率性を低下させるため、企業側が受ける経済的損失は計り知れません。
企業の信用力にも関わってくる問題なので、ハラスメント対策はしっかりと行ってください。
■具体的にどういう状況でコロハラが生じるのか
たとえば社内で咳をしただけで、コロハラの対象になってしまうケースがあります。
ひどくなるとアレルギー性鼻炎や花粉症といった症状に対しても、新型コロナの影響だと決めつけてしまう人がいます。
冷静に考えれば新型コロナに罹患する人の割合はまだまだ低いのですが、人は冷静に物事を考えることができなくなった時、動揺したり攻撃的な態度を取ったりする性質があるのです。
自分で自分を制御できなくなり、理性で対処できなくなるのです。
ウイルスは目に見えない存在だからこそ、そこに恐怖を抱くのは自然なことでしょう。
しかしだからといって他人を差別して良いわけではないのです。
感染者が多い地域を行き来したという理由で、ハラスメントをして良い理由にはなりません。
■人が攻撃的になる背景とは
いつも怒っているという人は、周りに一人くらいいるでしょう。
昔から怒ればストレスが溜まるし、血圧が上がると言われています。
そう考えれば当の本人はつらいはずですが、実際はまったく逆の現象が起こっています。
他人を責めることによりストレスを解消したり、気分転換をしたりしているのです。
冷静になって考えれば好ましくない行為であるのは明確ですが、理性的にモノを考えられる人ばかりではありません。
意識的または無意識の状態で、他人を攻撃するような人は大勢いるのです。
特に日本人は普段から本音を言わない傾向があり、それが心にストレスを抱える大きな原因になっています。
村八分という言葉があるように、誰かが感染すれば全員で寄ってたかって叩く傾向が見られています。
ハラスメントを防止するためには、言いたいことを言える職場環境を構築しておく必要があるでしょう。
アットホームで風通しの良い職場ではハラスメントは発生しにくいのです。
■社内でコロナハラスメントを起こさない工夫
コロハラが発生すれば業務に大きな支障が生まれます。
デメリットこそあれども、メリットなど何もないのです。
ハラスメントの怖いところは、時間の経過とともに状況が悪化していくことです。
この点はいじめと非常によく似ており、早期対策をしなければ改善が極めて難しくなります。
コロハラが原因で職場環境が悪化すれば、従業員のストレスが増幅して作業効率は低下するでしょう。
うつ病などの精神疾患を誘発する原因にもなるので、まずは新型コロナに対する正しい理解が必要です。
企業が元気になるためには、従業員一人ひとりが元気になることが大切です。
■まずは感染拡大を防ぐことが大事
人がコロハラに走ってしまう大きな理由に恐怖があります。
恐怖や差別は無知から発生することが多いと言われるように、まずは企業が従業員に対して新型コロナウイルスの対策を徹底するように指導する必要があります。
マスクの着用は当然のこと、三密を避けることも重要です。
コロナハラスメントに走ってしまう人を見ると、当の本人があまり対策をしていないケースが少なくないのです。
新型コロナは人から人に感染するので、まずはなるべく人との接触を避けることが大切になります。
休憩や昼食時は席を一つ空けるようにする、こまめに換気をするなどの対策を実施してください。
やるべきことをしっかりと行えば、不安はある程度軽減するはずです。
そうすれば理性的に物事を考えられるようになり、コロハラを抑えられる可能性が高くなります。
■会社主導で感染拡大を抑えていく
従業員にとって会社とは親のような存在です。
ほとんどの人は仕事をしなければ収入を得られず、生計を営むことができません。
会社側は従業員のプライベートにまで踏み込むことはできませんが、咳エチケットやソーシャルディスタンスの確保など、感染予防のポイントはしっかりと伝えておく必要があります。
指導をしても守る人ばかりではありませんが、意識改革をしてくれる人もいるのです。
社内全体にコロナハラスメントが蔓延してしまえば、ハラスメントを払拭するのは極めて困難になります。
だからこそ社内の一人でも多くの人たちに、コロハラは悪いことだと認識してもらう必要があるのです。
従業員の不安やストレスを軽減してあげることは企業の努めです。
指導してもムダと考えていては、そこから先の進展はありません。
まずはやるべきことをしっかりと行ってください。
■気軽に休める職場環境を構築しておく
単なる風邪だと思っていたら、実は新型コロナに感染していたというケースは少なくありません。
感染しても無症状の人もいますが、風邪のような症状が出る人もいます。
体調不調が生じても新型コロナに感染している確率は低いでしょうが、罹患している可能性はゼロとは言えません。
そのため企業側は普段以上に気軽に休める環境を整備しておく必要があるでしょう。
人員ギリギリの配置で作業をしていると、ちょっとくらい体調が悪くても休めないという意識が生まれてしまいます。
しかし新型コロナに感染した状態で出勤を続けていたとしたら、大勢に迷惑をかけることになります。
だからこそ目先の利益を追求するよりも、長期的な視野を持って考える必要があるのです。
さらにメンタルケアを受けられる環境を整備し、専属カウンセラーを設置するなどの対策をしましょう。
コロナハラスメントは本人に悪気がなくても、心の不安定から発生することがあるのです。
■テレワークに対応できないか模索する
すべての業務をテレワークに切り替えることは困難でしょうが、企業側はできる範囲で努力してみる必要があります。
新型コロナは人の大勢いる場所で感染拡大しやすい傾向があるのです。
たとえば飲食店に行く場合でも、一人で食事をするよりも、仲間と一緒に行くほうがリスクは拡大します。
テレワークを導入することで、従業員の心のメンテナンスにもなります。
出勤をしなくて良いので、出勤における時間の節約、ストレス解消などが期待できるでしょう。
さらに家族以外の人と接触する機会が極めて少なくなるので、新型コロナ感染の恐怖が軽減するはずです。
企業側は新型コロナ感染をきっかけに、社内における働き方改革に取り組んでみてください。
■健康維持を徹底するように指導を
免疫力を高く維持しておけば、新型コロナ感染を予防できます。
感染に怯えてコロナハラスメントに走ってしまう状況は、著しく非建設的な行為です。
人は何もしないと不安になる性質を持っています。
だからこそ企業側は従業員に健康維持を呼びかける必要があるのです。
免疫力を高めれば感染を防げる確率が高くなるので、バランス良い食生活、ストレス解消、早寝早起きなどを徹底するように指導しましょう。
不規則な生活が続くと免疫力が低下し、身体が病気に勝てなくなるのです。
社内に感染者が一人発生するだけで、職場の空気は一気に険悪になってしまいます。
だからこそ感染者をいかにゼロに抑えるかが大切になるのです。
不規則な生活はイライラを招き、それがコロナハラスメントを生み出してしまうケースもあります。
心にゆとりを持つためには、規則正しい生活が基盤になるのです。