コラム

これからの時代に企業が知っておくべきハラスメントの種類

■これからの時代に企業が知っておくべきハラスメントとは?

ハラスメントとは、暴言、暴力などの嫌がらせのことです。
職場で起こりやすい嫌がらせというと、パワハラやセクハラを連想される方が多いことでしょう。
パワハラやセクハラに関しては、法務部や労務部などに、専用の相談室など作って対策しているという会社も増えてきていますし、きちんと問題に取り組もうとする会社は多い傾向にあります。
ですが、会社で起こり得るハラスメント行為は、実はパワハラやセクハラだけではないのです。
最近では、パタハラ、ケアハラなど、いろいろなものが登場してきています。
時代に応じて、どんどん新しいタイプのハラスメントが登場しているので、企業はそれらに対してより敏感になり、すばやく適切に対処することが求められてます。
本記事では、これからの時代に企業が知っておくべきハラスメントの種類について、いくつかご紹介いたします。

 

■男性の育休に関するパタハラ

パタハラは、英語で父親を意味するpaternityを組み合わせた和製英語で、育児休業を取得しようとする男性社員に対する嫌がらせや不当な扱いのことです。
育児休業を取得した男性社員に対して、将来出世できなくなると脅すことや希望しない部署に配置転換するなどの行為もパタハラに該当します。
日本では育児休業というと、女性向けのものだというイメージが強いかもしれませんが、最近では、男性でも育児休業を取得される方が増えてきました。
しかしながら、男性の育児休業に理解がない職場もまだまだ多く、十分な環境も整っていないことから、対応できない企業が多いのも事実です。
そのため、男性社員が育児休業を取得しようとする場合に、どうしてもパタハラが起こりやすくなっているのです。
ちなみに、2017年度の男性社員の育児休業取得率は、5%ほどしかありません。
パタハラが起こらないようにするためには、会社の人たちや地域の人たちなど、社会全体で男性の育児休業取得に対する理解を深めていく必要があるでしょう。

 

■高齢社会によって今後も増えていくと予想されているケアハラ

ケアハラは、介護休業を取得しようとする人に対して、行われる嫌がらせの行為のことです。
ケアハラの事例としては、介護休業を取得したことで正社員から契約社員やパートタイムに降格させた、管理職から平社員へ降格させられたなどがあります。
また、契約社員や派遣社員など非正規職の方が雇い止めにあってしまったというケースもあり、職を失い生活に困ってしまう状況に陥ってしまうこともあるのです。
中には、管理職から平社員へ降格させられたり、希望しない部署に配置転換させたれたり、出世コースから外されてしまうなど、将来のキャリアを奪われてしまうケースもあったりします。
日本は高齢化社会に突入しており、介護をしなければならないシチュエーションがどんどん増えています。
今後、介護問題がますます深刻化していくと、このようなケアハラのトラブルもさらに多くなるだろうと予測されています。

 

■外国人労働者の雇用時に気を付けなくてはならないレイハラ

レイハラは、英語で人種を意味するracialを組み合わせた造語で、特定の民族や国柄に対して、差別的な発言をすることや嫌がらせ行為をすることです。
外国人の労働者に対する嫌がらせ行為のことを意味する場合もあります。
企業におけるレイハラの事例としては、外国人という理由だけで自国や文化を傷つける発言をされた、外見的特徴や国籍で判断して日本語ができないと決めつられて馬鹿にされた、特定の業務から外されたといった事例があります。
日本人と同じ行動を取らせようとすることも、人によってはレイハラとなってしまう場合もあるようです。
グローバル化が進んでおり、日本国内でも外国人労働者の数が増えてきています。
今後も、ますます海外からの労働者が増えていくと予想されているため、外国人労働者を雇用する場合には、レイハラに対しても十分に気を付けなければなりません。
人種差別発言などは、国際問題となってしまうこともあります。
そのような問題が起きないように、外国人労働者に対する偏見を持たないようにするなど、雇用する側の企業にはさまざまな配慮が求められます。

 

■FacebookやTwitterなどSNSの利用で起こりやすいソーハラ

ソーハラは、ソーシャルネットワークサービスと組み合わせた造語で、Facebookなどでつながって、嫌がらせや迷惑行為をすることを指しています。
ソーハラの事例としては、上司や同僚など関わりたくない人からFacebookの友達申請されて困った、職場の人にSNS上の投稿を常にチェックされて気持ち悪い思いをした、不快なコメントを書かれたといったことが挙げられます。
また、SNS上で悪口を書かれたり、ありもしない噂を流された、恥ずかしい写真をアップされたなどの事例もあったりします。
ただ、上司が部下の女性社員に対して、友達申請やコメントをしたら、必ずソーハラになるとは限りません。
セクハラと同様に、ソーハラの受け止め方に関しても、人によっても異なる場合があるのです。
オープンな性格な人だと、上司とSNSでつながることを全く気にしない人もいます。
ただ、女性のほうがソーハラを感じやすいともいわれていますので、男性社員が女性社員のSNSに不必要に絡むのは、余計なトラブル防止のためにできれば控えたほうが良いかもしれません。

■パソコンに詳しくない人に対してついやってしまいがちなテクハラ

テクハラは、テクノロジーとハラスメントを組み合わせた造語で、パソコンやスマートフォンなどのテクノロジーに詳しくない人に対して行われる嫌がらせのことです。
現代では、ほとんどの企業がパソコンなどのテクノロジー機器を導入しています。
中には、最新式のタブレット端末やスマートフォンなどを導入して、社員同士で連絡を取り合い、業務を行っている企業も多いことでしょう。
ただ、すべての人がパソコンやスマートフォンを思い通りに使いこなせるとは限りません。
コンピューター操作に疎い人に対して、イライラした態度を取ってしまう、わざとわかりにくい専門用語を使って説明してしまう行為は、テクハラとなってしまうことがあるので、注意が必要です。
そのようなテクハラを受けてしまった方は、自分のスキルに対して自信をなくしてしまい、萎縮してしまうことにもなりかねません。
そうなると、お仕事にも大きな支障が出てしまうことでしょう。
テクハラを起こさないためには、パソコンの研修制度を用意することやわかりやすいマニュアルを作成するなどの対策を講じておくと良いでしょう。

■年齢を理由に差別してしまうエイハラ

エイハラは、年齢を意味するAgeとハラスメントを組み合わせた造語で、年齢を理由に差別する嫌がらせのことです。
介護施設を利用している高齢者に対する嫌がらせとして、エイハラという言葉が使われることもあります。
内館牧子さんの長編小説でも「エイジハラスメント」という名前の作品があり、テレビドラマ化もされているので、その名前を耳にしたことがあるという方もいらっしゃることでしょう。
会社には、若い新入社員、中年の中堅社員、定年間近の社員など、さまざまな年齢の人たちが働いています。
新入社員に対して若いから何もわかっていないという態度を示してしまう、中高年の社員に対してまだ昇進できないの?などと発言してしまう行為は、エイハラになってしまう場合があります。
30代の女性社員に対して、もう若くないからという言い方をしてしまうことも、人によってはエイハラとなり、傷付けることになってしまいますので、気を付けなくてはなりません。
年齢が離れていると、理解し合えない部分もあるかもしれませんが、同じ人間同士であることには変わりありません。
企業の中には、エイハラを防ぐために法務部や労務部が言葉遣いのマニュアルなどを用意しているところもあります。

■体臭や香水などで相手を不快にさせてしまうスメハラ

スメハラは、臭いを意味するsmellとハラスメントを組み合わせた造語で、体臭や香水などの臭いが原因となる嫌がらせのことです。
たとえば、女子社員の中に、香水をたっぷりと付けて出勤する人がいて、オフィス内が甘い香りで充満してしまい、ほかの社員が気持ち悪くなってしまうことがスメハラに該当します。
近年は、強い香り付きの洗剤や柔軟剤などもありますので、香水を付けていない人でも、意図せずにスメハラを行ってしまっていることもあるので、服の臭いにも十分に注意したほうが良いでしょう。
香水や柔軟剤などの香料だけでなく、ワキガ、加齢臭、汗の臭いなどの体臭もスメハラの原因となってしまうことがあります。
ただ、体臭に関することはとてもデリケートな問題なので、本人には直接注意しづらいこともあるでしょう。
場合によっては、体臭を指摘したことで、その人が深く傷付き、モラハラやセクハラと受け止めてしまう可能性もあります。
スメハラは、原因となる本人自身も悩んでいたり、コンプレックスを感じていたりすることもあることを頭に入れて、慎重に対処したほうが良いでしょう。

■妊娠中の女性スタッフに嫌がらせするマタハラ

マタハラとはマタニティハラスメント、すなわち、妊婦さんへのパワハラです。
妊娠した女性社員などに同僚や上司が嫌がらせをする行為を言います。
妊娠は世間一般ではお祝い事であり、喜ばしいお話で、周囲の人たちは妊娠中の女性が無理をしないよう配慮することやサポートするものです。
ですが、それが職場となると事態が変わってきます。
妊娠した女性へのパワハラというと、妊娠中の辛さなどを理解できない男性からと思われがちですが、意外に女性の同僚や上司、後輩からの嫌がらせも起こりがちです。
男女問わず、上司からは妊娠して従来の業務ができなくなったり、身体上の負担が重いからといったことを理由に、本人が希望しない部署への異動や配置転換を命ぜられたり、降格を言い渡されることも少なくありません。
同僚からは「仕事が忙しい時期なのに妊娠なんて。産休や育休のカバーはどうするの?」といった陰口を叩かれ、精神的に追い詰められることもあります。
悪阻で休む場合や満員電車を避けたいと時差出勤を申し出ると、「それなら辞めれば?」と暗に求めてしまうのもマタハラにあたります。
さらに産休明けや育休明けに出社したら、自分のポジションがなくなり、希望しない仕事やみんながやりたがらない仕事を与えるといったケースもよくありがちなケースです。
妊娠したことを理由に降格を行った企業が、男女雇用機会均等法違反と判定された事例もあるため、法務部や労務部の担当者は、こうした取り扱いをしないよう、各部署の部門長や人事部に目を光らせる必要があります。

■自主退職へと追い詰めるリスハラ

リスハラはリストラハラスメントの略で、リストラしたい社員に対して、自ら辞めるように仕向ける行為です。
企業が経営難や経営再建などを理由にリストラするとなれば、早期退職金の支払いが必要になることやニュースなどでリストラしたと騒がれて企業の信用を落とすことになりかねません。
企業の手を汚さずにリストラを促す方法として、古くより行われてきた、企業のよくある常套手段です。
窓際族という言葉がかつて流行りましたが、これこそがリスハラの原点と言えるかもしれません。
ロクな仕事も与えず、仕事にやりがいを感じられなくなり、モチベーションが下がって自己退職に追い込むという方法です。
一方、債権回収やクレーム対応など、わざと誰もが避けたい辛い仕事を担当させ、肉体的にも精神的にも追い込んで退職に追い込む方法もリスハラにあたります。

■結婚していないことを持ち出すマリハラ

マリハラはマリッジハラスメントの略です。
パワハラを行うほうも、パワハラを受ける相手も男女は問いません。
「いい歳なのにまだ結婚しないの?」や「いい相手はいないの?」、「誰か紹介してあげようか?」といったお節介をはじめ、「結婚して落ち着かないと、取引先から信用を得られないよ?」「結婚したほうが責任感も生まれて出世するよ?」などと言うのもマリハラにあたります。
女性に対して、「結婚して家庭に入るほうが幸せだよ?」などと言うことや男性に対して「結婚もできないから、クライアントにも認められないんだ。」などと言うのもNGです。
特に年配者にありがちなパワハラになります。
そこには、古くからの価値観として結婚しているほうが偉い、結婚していないのは人格や能力に問題がある的な発想が根底に流れています。
ですが、適齢期を迎えたら結婚して家庭を持つのが当たり前だった時代に比べて、今は生涯独身という方や晩婚の方が増えており、その傾向は男女問わず同じです。
にもかかわらず、結婚がらみの話を職場で持ち出さないようにしましょう。

■まとめ

以上、これからの時代に企業が知っておくべきハラスメントについて、いくつかご紹介しました。
このほかにも、オフィス内に寒がりな人がいるのにも関わらずエアコンの温度を自分勝手に下げてしまうエアハラ、歓迎会や新年会などの飲み会の席において飲めない人にお酒を無理やり飲ませようとするアルハラ、タバコが苦手な人の前でタバコを吸ってしまうスモハラなどもあります。
自分では大したことがないと思っていても、相手にとっては嫌がらせ行為に感じてしまい、大きなストレスを与えてしまうケースもあるので、企業はこのような行為に対して、社員が気持ちよく仕事ができるように配慮する必要でしょう。

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