コラム

民事再生手続きとは?費用やメリット・デメリットを解説

■弁護士に相談する前に理解を深めよう

経営が苦しくなってきて、民事再生手続きを検討している場合、その内容についても知っておきましょう。
どんな流れで民事再生手続きを行うのか流れや費用、かかる期間などについてこちらでは説明させていただきます。
メリットもあればデメリットもありますので、そこも理解したうえで弁護士に相談してみましょう。

■民事再生手続きとは何か

もうこのままで会社の経営も怪しく、首が回らなくなってしまうと思った時には、いくつか考えられる方法があります。
経営が難しいとわかっていても、できるのであれば今の事業を続けたいと思っている方もいるでしょう。
倒産の手続きには、破産以外にもいくつか方法があり、民事再生手続きを利用すると借金も減らすことができてそのまま経営を続けることも可能になります。
そのためには債権者の多数の同意が必要となり、もし得られなかった時にはこの民事再生手続きは難しくなります。
さらに債権者の同意が得られても、なんらかの理由で裁判所の認可を受けられないとなってしまうとそれも難しくなってしまうので注意が必要です。
債務者が自己を再建させるための計画を債権者に提示して、債権者、裁判所から進めても問題ないという通知が出たら、その作成した計画に従って経済的更生を進めていくことが可能になります。

■民事再生手続きは破産や任意整理と何が違うのか

破産型の手続きを行うと、借りていたお金も返済しなくても良くなりますが、会社も資産も失うことになります。
経緯者の中には、もし少しでも希望があればできる限り会社も資産も失いたくないと思っている方は多いのではないでしょうか。
もし破産型を選んだ時にメリットとなるのはいったんすべてがリセットできますので、借金もなくなりまた新しい再出発を始められる点です。
破産をしてしまったからといって、その後の人生で会社経営ができなくなるわけではありません。
民事再生の場合は、借金がすべてなくなるわけではないので将来的には返済をしなければならないのですが、全部を取られる心配もありません。
今まで何店舗も経営していたとして、今後は事業規模を小さく1店舗だけで会社を頑張るという場合でも可能です。
債権者の気持ちが大きく反映されますが、何も返済がないよりもも一度頑張って借金したものは返してほしいというのも本音です。
民事再生をして頑張りたい時には相談をするとできる場合もあり、事業を継続するケースも多くあります。
中に会社として任意整理を行うという方法もあり、この方法を採ることができれば裁判所が関与する法的清算手続きをすることなく借金の整理ができます。
ただ会社側で債権者に相談をしなければならないので、もし反対されてしまうと難しいです。
もし了承してもらえたら、今会社にあるすべての財産の売却や回収をし、債権者に向けて公平に弁済を行います。
任意整理が可能な条件というものもあり、債権者が少数や1社などで債権者も会社を理解してOKを出してくれているなどいくつかクリアしないと難しい面があります。
会社での倒産手続きの中でも、この任意整理に関しては結構難しいものがあり、どちらかというと民事再生手続きのほうがスムーズにいきやすいです。

■民事再生手続きの流れについて

まずは申立代理人弁護士の選定から行い、事業再生や倒産手続きなどに詳しい方に相談をして民事再生手続きを行ってもらいます。
その後申立に必要な書類の作成、申立費用の準備などをしていきます。
民事再生の申し立てを行った後は弁済をすることが原則禁止になり、どうして再生の手続きを行うことになったのかを債権者に説明していくことも必要です。
この後は本格的に再生手続きを開始し、再生債務者の収益性の改善や計画案の提出までにスポンサーの選定を行い、再生債権者による債権届出と再生債務者による認否書の作成提出作業や財産評定の手続きもします。
納得してもらえそうな再生計画ができたら、今度は提出をして内容について法律に引っかかってしまう点がないかを見てもらい、案に賛成してもらえるのかを見守ります。
債権者の頭数の過半数と、届出債権者の議決権額の1/2以上の賛成が得られた場合は無事通過となりその後認可確定もされたら再生計画通りに進めることが可能です。
債権者に対して再生計画通りに弁済を行い、約束を守って完了した時もしくは再生計画認可決定確定後3年間経過時に再生手続きは終結します。
賛成してもらい会社を継続して経営するためにも、納得のいく計画書を作成しなければなりません。
なんとなく不安を感じさせることや甘い内容の計画書では債権者の賛成を得られないことになってしまいます。
弁護士と相談をしながら、誠意のある計画書をしっかりと練って納得してもらえるようにしましょう。
もし提出後債権者に認めてもらえた場合は、その後は計画書通りに実行できるように努力が必要です。
しっかりと弁済できるように約束を守るようにしましょう。

■民事再生にかかる費用

お金に困っている時ですので、そんなに余裕がない債務者も多いと思いますが、民事再生の場合はある程度費用もかかってきます。
まず裁判所に納める予納金というものが必要になり、これはどのくらいの負債総額があるかでも変わってきます。
予納金は、監督委員や監督委員を補助する公認会計士の報酬等に支払われるものです。
この予納金がないと、民事再生の手続きをしたいと思っても難しくなってしまいます。
万が一自分の会社のほかに関連会社も一緒に民事再生を行いたいという場合は、予納金もさらにプラスになってしまいます。
金額は1社につき50万円がプラスになりますので、関連会社が多ければその分も予納金にプラスされてしまうことも覚えておきましょう。
負債総額が5,000万円未満の場合でも、予納金の金額は200万円かかってしまいます。
これが10億円から50億円未満の場合は600万円、1,000億円以上になってしまうと1,300万円もかかってしまいます。
借金が増えていて首が回らない状態、もしくはその状態に近く苦しい時ですので、予納金に関しては大きく感じてしまうかもしれません。
ほかには、裁判所に納める印紙代が10,000円、切手代が3,880円かかります。
そして弁護士にも依頼をしますので、弁護士の費用というものもかかってきます。
こちらは必ずこの金額というものは決まっていないので、各弁護士事務所で設定しているため確認が必要です。
会社の規模や債務者の数、どのくらいの資産を持っているのか、関連の会社もすべて民事再生するのかなどすべてが費用に関わってきます。
平均では800万円から1,200万円とは言われていますが、これよりも安い場合もありますし、その状況によっては高くなる場合もあります。
民事再生手続きをしようと思った時、その内容にもよりますが、トータルするとかなりの金額がかかると思っていたほうが良いでしょう。

■民事再生にかかる期間

すぐに手続きが終わるわけではなく、債権者にも納得してもらわなければいけないですし、どのように再建するのか書類も作成しなければなりません。
1ヶ月や2ヶ月ですべてが完了してしまうということはなかなかなく、申し立てから再生計画の認可まで5ヶ月くらいはかかります。
これまでの民事再生手続きを行った債務者の方も、だいたいが6ヶ月くらいでは手続きが終わっているケースが多いです。
ある程度半年前後はかかると思って、手続きを開始したほうが良いでしょう。
決して短くはないのですが、ほかにも再建型の法的倒産の手段である会社更生手続きを行おうとするともっと期間がかかると言われています。
平均でも約1年と言われていますので、それと比較をすれば短くできます。

■民事再生のメリット・デメリット

まずはメリットから見ていくと、首が回らなくなってしまう程の債務を、民事再生手続きをすることで少なくできるのは大きいでしょう。
借金が膨れ上がってしまった時には、本来の仕事どころではなく頭の中は返済のことでいっぱいだったのではないでしょうか。
手続きをすることで借金を減らせるので、本業の仕事のほうに頭を使えるようになります。
さらに破産するわけではないので、そのまま経営を続けられるようになり、会社を手放す必要もありません。
また盛り返して利益を上げるために、元々の仕事を通して頑張ることができます。
支払いに関しても、債務をただ減らすのではなく少しすぐに返済が厳しい時には支払いを猶予してもらえる場合もあり、これもメリットとして大きいです。
いくつか債権者がいる場合、どうしても仲が悪かったり納得してもらえなかったりする場合があるのですが、それでも出席議決権者の過半数の賛成及び議決権者の議決権総額の2分の1以上の賛成があれば手続きができますので、万が一反対する人がいても人数によっては手続きが進められます。
逆にデメリットとしては、万が一担保権などがある場合は行使して回収しようとされてしまうので、担保権についても考えておいたほうが良いでしょう。
民事再生手続きではないところで行使されてしまうと、債務者はさらに苦しい立場になってしまいます。
個人が自己破産をした場合には官報に名前が載るのですが、会社がとなると官報だけでなく帝国データバンクにも倒産情報として載ります。
官報は気軽にネットで検索して見ることはできませんが、帝国データバンクは簡単に見ることができすぐに知られてしまうのです。
「あの会社は民事再生の手続きをしているんだ。」という目で見られ、信用度が落ちてしまうというデメリットがあります。

■メリットやデメリットをしっかりと理解して検討しましょう

民事再生手続きは債権者に納得してもらうことができれば、会社を失わずにまたもう一度計画を練って利益を上げられるように頑張ることが可能です。
ただ債権者が同意してくれるどうかでも、民事再生手続きができるかは状況が変わってきます。
メリットとなる面もありますが、予納金や弁護士費用が高いこと、帝国バンクに載ってしまい社会的な信用が低下する場合もあります。

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