コラム

中小企業がM&Aを失敗してしまう5つの理由

■なぜ中小企業はM&Aを失敗しやすいのか

中小企業がM&Aを画策しても、失敗してしまうケースは少なくありません。
失敗とはM&Aの不成立に限らず、自社に不利な条件で契約してしまうケースやシナジー効果が得られないケース、従業員の雇用維持やブランドの承継など目的が達成されないケースなどもあります。
成功しなかったのは企業規模が小さいからだ、大手のような知名度がなかったからだと片付けてしまってはいけません。
中小企業はM&Aを失敗する、よくある代表的な5つの理由をご紹介します。

■M&A戦略が確立されていない

今の時代はM&Aだと突っ走った場合や経営コンサルタントなどにアドバイスをされて十分な理解や計画を立てずに行えば、当然ながら失敗します。
M&Aで失敗している中小企業ほど、はっきりとした戦略がなく、持ち込まれた提案を行き当たりばったりで検討しているケースが少なくありません。
何のためにM&Aを行うのか、そのためにはどうすれば良いのか、将来を見据えて経営戦略を立てなくてはなりません。
そのために、まずは目的をはっきりさせましょう。
シナジー効果が出る事業を獲得したい、規模の利益を追求したいといった目的や新しい事業の柱を作りたい、多角化によって経営の安定を図りたいなど、何を求めるのかを明確にし、そのためにはどのようなM&Aを行えば良いのか、しっかり戦略を立てましょう。

■ステークホルダーの調整ができていない

M&Aを進めるうえでは従業員や役員、株主や取引銀行、取引先などのステークホルダーの理解を得ることや株主の議決を得ることが必要になります。
M&Aにメリットがあるのだから、当然に受け入れてくれるだろうなどと高を括っていると、思わぬ反対を受け、前に進めなくなるケースが少なくありません。
M&Aをしたほうが従業員のためになると考えたのに、実際には合併先と社風や仕事のやり方が合わない、お互いに尊重し合えないなどの理由で従業員の不満が募ってシナジー効果が発揮されなくなる場合や離職が進んでしまうケースもあるからです。
また、持分比率の高い株主が反対することで、M&Aが成立しないケースもあります。
M&Aを進める前に誰が、どれだけの持分比率を保有しているかを調べ直し、反対しそうな株主がいないかを事前にリサーチすることや必要に応じた根回しをしておくことも欠かせません。

■議決権を軽んじている

会社の売却に伴う株式譲渡が必要になる場合には、株主が保有する議決権の3分の2以上の賛成が必要です。
自社株の保有者は経営者一族や親族だけだから、当然に通るだろうと思っていたところ、兄弟姉妹が反対する、子どもの間で大きく意見が分かれるなどの分裂が生じるケースが少なくありません。
これまで仲良くやってきたはずの親族経営が、M&Aをきっかけに大きな争いが起こる場合や冷戦状態になるケースが増えています。
株式買収などを行って無理やりM&Aを行った結果、親族が分断してブランドも分化し、共倒れとなるようなケースもあるため注意しましょう。
事前に株主の意向を聴取するとともに、必要に応じて株主構成を見直しておくなどの事前対策を講じておくことが必要になります。

■価格の算定や交渉がうまくいかない

買収価格や売却価格が適正に弾きだせなかった場合や交渉がうまくいかず、競争相手に負けてしまうケースも多いです。
買収の場合、売り手企業の魅力が高いと複数の買い手が競合することや後から自社より有利な条件で買収をかけてくる大手企業などが現れ、相場価格を大きく上回る条件を突き付けてくるケースもあります。
相場価格を下回る価格での交渉は他社に取られるリスクが高いため、買収価格を絶妙に設定して売り手側にオファーしなければ失敗につながります。
一方、売却する場合には自社の適正な売却価格を、専門家に依頼して的確に知っておくことが大切です。
安売りをしないよう目安額を把握するとともに、自社の強みや魅力を最大限にアピールして売却価格を引き上げる交渉を行うことがポイントです。
また、M&Aの仲介会社を利用する場合には、仲介手数料などのコストも買収コストや売却コストとして踏まえておかなくてはなりません。
仲介手数料は業者により、着手金や中間金の有無が異なるほか、成功報酬額に大きな違いがあるため、思わぬロスが生じることもあるので注意が必要です。

■買収後の経営責任が不明確

せっかくM&Aを成功させたかと思ったら、買収後の経営責任が曖昧だったために失敗するケースも少なくありません。
その原因の多くはM&Aを検討する部門や人材と買収後の経営を担う部門や人材が別れており、買収後に無理に経営責任を担わされることが挙げられます。
買収後には双方の統合作業や経営ノウハウの浸透、シナジーの創出といった重要な作業が待っています。
買収後に経営責任を持つ部門や人材が、M&Aにノータッチでいきなり経営を任されてもうまくいくはずがありません。
買収に乗り出したモチベーションが高い経営者自らが、買収後の会社経営にあたるなど、買収後の経営まで責任を持つことが大切です。

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