コラム

会社を売却した後の従業員はどうなる?影響や公表のタイミングは?

■会社売却時には従業員の雇用の問題も考えなくてはならない

コロナ禍の影響、資金繰りが難しくなったなど、さまざまな事情で会社を売却しなければならなくなったときには、従業員たちの対応も考えなくてはなりません。
会社という大きな組織は、正社員だけでなく、パートやアルバイトの非正規社員など、さまざまな立場の従業員たちによって成り立っています。
突然会社がなくなってしまったら、長年一緒に働いてきた従業員たちがどうなってしまうのだろうかと、心配になってしまうことでしょう。
会社の売却は経営者側だけでなく、従業員たちにとっても大きな不安を及ぼします。
もしも新しい就職先が見つからなかったらどうなるのか、売却先の企業側で受け入れてもらったことになった場合にはうまくやっていけるのかなど、さまざまな不安や心配に襲われてしまうことでしょう。
本記事で、会社を売却した後の従業員への影響、売却することをいつ公表すべきなどについてまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。

■会社を売却した後も雇用が保証されるケース

会社売却後の従業員の扱いについては、そのまま売却先の企業で雇用が継続されるケースが多い傾向です。
お給料や役職などの待遇面に関しても、これまでと同等か、場合によってはより好条件で迎え入れてもらえる可能性もありますので、あまり悲観的にならなくても大丈夫です。
ただし、全員が良い条件で売却先の企業に迎えられるとは限りません。
売却先の企業で雇用が保証されることになった場合に、従業員がどのような扱いを受ける可能性があるのかについて、社員の立場ごとに見ていきましょう。

・正社員の場合はそのまま雇用されやすい

正社員の場合には、会社売却後も雇用が維持されやすくなっています。
その理由の一つとして、買収を行う側の企業の目的があります。
企業が莫大は費用を投資して会社を買収するのは、人材確保が目的だからです。
会社買収によって、優秀な人材、長年活躍してきたベテラン社員をより多く確保したいと考えているのです。
その企業にとって必要不可欠な人材、即戦力となる人材だと判断された場合には、今までよりもお給料がアップしたり、昇進したりなど好条件で迎えられることもあります。
また、正社員の雇用が維持されやすい理由としては、買収先の企業のほうが資金に余裕があるということもあります。
企業買収は十分な資金を持っていないと行うことができません。
基本的に買収する側のほうが、買収される側の企業よりも、資金的にも規模的にも大きいことが多いので、好条件で迎え入れやすくなっているのです。
経営者が会社を売る際に従業員たちの雇用の維持を必須条件にしていることや労働法によって社員を簡単にはリストラできないという事情があることも、正社員の雇用が維持されやすい理由です。

・役員職の場合は冷遇されてしまう可能性がある

役員職の場合には、冷遇されてしまう可能性があります。
当然、買収する側の企業にも役員がたくさんいますので、ポストが空いていないことが多いのです。
そのため、買収前の企業で重要なポジションに就いていたとしても、買収先の企業では、役員待遇から外されてしまうことも珍しくありません。

・社長職は引き継ぎ後に退職することになる

社長職の場合には、買収後は退職するのが一般的となっています。
後継者への引き継ぎ後を行った後で、社長職を退いて退職することが多い傾向です。

■売却先の企業に受け入れてもらえない場合はリストラの対象になることも

特別なスキルや実績を持っているなど優秀な社員であれば、買収先の企業でも迎え入れてもらいやすくなりますが、一般事務職など専門性が問われない仕事に従事していた正社員、契約社員やアルバイトなど非正規職には、厳しい結果となることもあります。
買収先の企業で即戦力にならないと判断された場合には、せっかく新しい会社へ移っても、リストラの対象となってしまう可能性があります。
また、勤務地が変わってしまうこともあるので、お住まいの地域によっては通勤が難しくなってしまうこともあるでしょう。
買収先の企業で雇用が継続されるからといって、すべての従業員にとって最良の結果とは限らないので、買収先の企業でやっていくのが難しそうな場合には、就職先のあっせんをするなど、別途対処が必要となります。

■会社売却の情報開示はどのタイミングで行うべきか?

会社を売却することになったら、そのことを従業員へも知らせなくてはなりません。
どのタイミングで公表するのかについては、とても難しい判断となってしまうでしょう。
公表のタイミングがあまりに早すぎると、従業員から大きな反感を買うことや不安にさせてしまうことにもなりかねません。
また、情報流失、企業のイメージダウンによる売り上げなどの影響などの心配もあります。
かといって、公表のタイミングが遅くなってしまうと、従業員が再就職先について考える余裕がなくなってしまいます。

・売却契約の締結後に伝えるのがベストタイミング

会社が買収されることを従業員に伝えるタイミングについては、売却契約の締結後が一番良い時期です。
ただ、一度に全部の情報を公表してしまうのはリスクがあります。
従業員たちが一度に辞めてしまい、流出してしまう心配がありますので、段階を踏むようにして、徐々に公表していくほうが良いでしょう。
公表の手順としては、まず最初に役員職や部長クラスなど立場が上の社員に伝えておき、その後で全従業員に対して一気に公表するのが望ましいです。

・従業員たちを不安にさせないために丁寧に説明することが大切

会社を売ることになったと経営者側から伝えられたら、従業員はびっくりしてしまうことでしょう。
自分の雇用はどうなるのか?勤務地が変わってしまうのか?など、これからどうなるんだろうとさまざまなことを考えて不安に陥ってしまいます。
売却を公表することで、不用意に従業員を不安にさせたり、混乱させたりしないように、経営者側は、今後の待遇面などについて、丁寧にわかりやすく説明することが大切です。
また、買い手の企業の情報についても詳しく知りたいと思っているので、しっかりと答えられるようにしておいたほうが良いでしょう。

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