コラム

顧問弁護士には相談できない事案が発生したら?

企業を経営していくうえで、大小問わず日々様々な問題が発生しますが、その際、問題の内容によっては顧問弁護士に相談することがあるかと思います。
ただ、顧問弁護士の得意な分野でない場合や早急に解決しなければならない場合どうすれば良いのでしょうか。
今回はそういった事案が発生した際の対処方法などについて説明していきます。

■顧問弁護士のスタイル

大手企業をはじめ、中小企業であっても顧問弁護士と契約を結んでいるケースは少なくありません。
契約内容は個別に定めることができるため、顧問弁護の業務内容も企業によって異なります。
費用を抑えるほど距離は遠くなり、月に一度程度、企業訪問または電話による確認がなされるだけ、事務所のリーガルスタッフによる契約書類等のチェックがなされるだけといったケースも多いものです。
また、気になることや困ったことが生じたら、電話で問い合わせてアドバイスを受けるだけといったスタイルの低価格サービスも、小さな企業などで利用されています。

■顧問弁護士にどこまで頼れる?

大手企業などでは企業訴訟における勝利実績が高く、企業法務に精通した弁護士を頼むことや専門性の高い弁護士が集まる大規模なローファームと顧問契約を結ぶことが可能です。
一方で、中小企業などでは地域の弁護士を探し、コスト重視で、とりあえず、何かあったときのためにと顧問契約を結ぶケースが少なくありません。
個別の契約というよりは、低料金プランなどがあらかじめ用意されていて、月に1度の訪問とリーガルチェック、メールや電話相談は何回までといった定型化されたサービスが多く、必ずしも顧問弁護士を活用しきれていないのが現実です。
では、取引上のトラブルが発生したり、企業の商標権や著作権などに権利侵害がなされたり、製品やサービスの提供によって事故が起きたり、労働問題などが生じたとき、顧問弁護士に頼れば、すべて解決してくれるのでしょうか。
もちろん、あらゆる法律問題にフレキシブルに対応できる顧問弁護士もいるでしょうし、 専門性の高い複数の弁護士がいる法律事務所やローファームなら、チームを組んで対応してくれるでしょう。
ですが、顧問弁護士によっては対応しきれない場合もあるため、注意が必要です。

■弁護士にも得意分野がある

弁護士は法律の専門家ですが、パーフェクトではありません。
国内の法律から国際法に至るまでさまざまな分野がある中で、すべてを網羅し、すべての問題に対応するのは現実的ではないでしょう。
そこで民法、刑法、商法といった基本的な法律問題を抑えるとともに、ほかの法律や積極的に取り組むべき分野を絞っている方が少なくありません。
さまざまな法律を網羅して、広く浅く法律問題に対処するより、いくつかの対象に絞って取り組んだほうが、ノウハウも高められ、ひいては相談者やクライアントの利益になるからです。
そのため、顧問弁護士もそれぞれ得意分野・不得意分野が存在しています。
特に中小企業などの顧問弁護を低コストで引き受けている弁護士の場合、企業で生じる高度な法律問題には対処できないケースが少なくありません。
顧問弁護士は何か起きなければ、難しい判断や対応に迫られることがなく、毎月、安定的に収入が入る、弁護士にとっては重要な収入源です。
日ごろは離婚や相続問題に特化している場合や借金問題に特化している弁護士が、顧問弁護士を引き受けている場合もあるため、いざ、大きなトラブルが発生すると対応できない可能性も少なからず存在しています。

■難しいトラブルが発生した場合の対処法

いざ大きなトラブルが発生した場合や難しい問題や重要な取引で弁護士のサポートが必要となった場合、顧問弁護士で対応できるのか不安になるケースもあるかもしれません。
もっとも、実際に確認してみないと対応できる問題なのかもわかりかねます。
仮に顧問弁護士の対応力に不安を抱いたとしても、顧問契約を結びながら、なんの相談もなく別の弁護士に依頼するということはしにくいのではないでしょうか。
そのため、まずは最初の一歩として顧問弁護士に相談をしてみましょう。
誠意ある弁護士なら、自分に対応できないと思えば、その分野に長けた別の弁護士を紹介してくれることやこのジャンルに強い弁護士に相談したほうが良いとアドバイスをくれることでしょう。
これに対して、利益優先で考える顧問弁護士やプライドが高い弁護士の場合には、対応したことがない問題にもかかわらず、引き受けてしまうケースもあり得ます。
本当にスムーズな解決ができるのか不安がある場合は、まずは、どのような対応をとるのか解決策の提示を受けましょう。
内容によっては、別の弁護士にセカンドオピニオンを受けることおすすめです。

■セカンドオピニオンを得よう

医師に病気の診断や治療法についてセカンドオピニオンを受ける場合、最初の診断を受けた主治医の同意が必要となり、検査書類などの提出も受けなくてはなりません。
ですが、弁護士にセカンドオピニオンを受ける場合にはそのような縛りはありません。
顧問弁護士に同意を得なくても、より専門性の高い弁護士を探してアドバイスを求めることが可能です。
その結果、より納得のいく方法やより専門性が高く信頼できると判断された場合には、その案件については顧問弁護士ではなく、別の弁護士に依頼するのが早期解決に至る近道です。

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