医療分野でよく使われる「セカンドオピニオン」という言葉。
弁護士に依頼する際にもセカンドオピニオンという言葉が使われることがあります。
では法律分野におけるセカンドオピニオンとは何なのでしょうか?
詳しく紹介していきます。
■弁護士にセカンドオピニオンが必要な理由
医療分野で広まったセカンドオピニオンは、主治医以外の医師からも意見を得ることで、治療方針を決定する判断材料を増やすことが目的とされています。
依頼をする側には専門知識がないため、広く第三者の意見を聞くことで必要な情報を得ることは非常に重要だといえるでしょう。
これとまったく同じことが弁護士の業務に対してもいえます。
弁護士も医師と同じく非常に専門性の高い分野の業務を担いますので、1人の意見しか聞かないで物事を決定するのは、必要かつ十分な検討をしたとはいえません。
弁護士にセカンドオピニオンを求める行為は、依頼者が問題を法的に解決するための意思決定について、なるべく多くの専門的な情報を獲得するための行動といえます。
実は弁護士業界でもすでにセカンドオピニオンの活用は一般的になりつつあり、初回相談をしたときに弁護士側からセカンドオピニオンの活用を勧められるケースも出てきました。
医療業界も弁護士業界も、依頼を受ける側とする側とで持ち得る情報量が圧倒的に異なります。
その状況において真に納得して依頼を行う、そして問題を解決するためには、なるべく対等な関係性を築く必要があります。
そこで溝を埋めるために弁護士側も努力し、依頼者の権利としてセカンドオピニオンを保障しているのです。
こうした取り組みにより、弁護士は依頼者との情報格差を極力なくし、複数の選択肢の中から依頼者の意思で選択してもらえる環境を構築しています。
依頼者は心から納得し、自ら決定した方針で弁護を受けることができるでしょう。
またセカンドオピニオンを活用できるのは、最初に弁護士へ依頼するときだけとは限りません。
依頼者は自分の意思により弁護士との委任契約を解除することが可能であり、解任にあたって弁護士の同意は必要ありません。
解任に特別な決まりもなく、電話やメールなどでも解任の意思を伝えれば成立します。
つまり弁護士と契約後、業務を遂行してもらう中で疑問を感じるような場合にはセカンドオピニオンを取り、場合によっては委任契約を解消してほかに移ることも可能なのです。
すべての弁護士がすべての事案に精通しているとは限りませんので、より得意とする分野の弁護士へ依頼先を変えるためにも、セカンドオピニオンは活用できます。
■セカンドオピニオンを活用するメリット
セカンドオピニオンは、いついかなるときにも活用するメリットがあります。
利用を考えるタイミングとしては、最初に弁護士に依頼するときと、業務の途中に不満や疑問を感じたときの2つが主でしょう。
弁護士の助けが必要となったとき、まず複数の弁護士に相談すれば回答内容に一番納得できた相手を選ぶことが可能です。
また、最初に選んだ弁護士に頼りきりになり、何もかも丸投げにならないようにするためにもセカンドオピニオンは有効です。
第三者の意見を聞くと冷静な判断ができるようになりますし、場合によっては解決までの期間が短縮できるかもしれません。
弁護士側もセカンドオピニオンが存在することで、より良い業務を遂行する努力の糧になります。
弁護士も人によって保有する専門知識も実務経験も違いますので、常に客観的に適切な対応ができているかを確認する物差しが得られるのは大きなメリットです。
また、弁護士との付き合いで非常に重要なのが、人間同士の相性です。
自分の人生を左右しかねない業務を任せる相手ですから、セカンドオピニオンをフル活用して、腹を割って話せる相手を探してください。
相手との交渉が難航するような案件や年単位の期間が必要な難しい案件ならなおさらです。
弁護士は委任されている間は本人と同じ立場となるわけですから、同じゴールを見て協働できる相手でなければいけません。
セカンドオピニオンは、自分にとって必要な助けを探すために有効な手段ですし、一度走り出した後の軌道修正にも使える点が大きなメリットといえるでしょう。
■セカンドオピニオンを得ることにデメリットはないか
セカンドオピニオンを得ることにメリットがたくさんあることはわかりましたが、反対にデメリットはあるのでしょうか。
多くの依頼者が気にしているのが、個人情報についてです。
弁護士に相談する内容はそもそも人に言いたくない内容ばかりですから、複数の弁護士に相談することに抵抗を感じる人も少なくないでしょう。
セカンドオピニオンを利用した結果、複数の相手に自分の個人情報が伝わることに不安を感じる気持ちもわかりますが、弁護士は職務上守秘義務を負う職業です。
この義務は相談のみで終了した場合にも変わることはなく、セカンドオピニオンを得た弁護士や事務所から内容や情報が漏れることはまずありません。
弁護士法23条では、「弁護士又は弁護士であった者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。」と明言されていますので、そこは心配なく利用してください。
内容によってはつらい話を何度も違う相手にしなければならない点はデメリットかもしれませんが、それ以上に得るものは大きいです。
より良い結果を得るためですから、勇気を持って活用することをおすすめします。