コラム

中小企業に知ってほしい!商標を取得するメリット

■中小企業が商標登録する必要はあるのか

中小企業経営者から弁護士に向けて、商標登録の必要性を問う声は非常に多いです。
もちろん商標登録は義務ではありません。
しなくてもビジネスはできますし、正直メリットがわからないという経営者は少なくないでしょう。
でも実際には年間10万件以上もの出願があり、この約半数は中小企業からの出願です。
企業規模を問わず商標を求める経営者がこれだけいるということは、もちろんそれだけ意義のあることだという証明でもあります。
それでは商標登録をするメリットについて解説しましょう。
大きくわけて2つあり、1つめはブランドの確立です。
商標登録をしていれば、取得した段階で自社の商品やサービス名、店舗名などがブランド化できます。
ブランドと言われても必要性が感じられないかもしれませんが、逆にいえばある日突然、自分たちの商品やサービスが使えなくなる可能性があるということです。
これは日本の先願主義という商標制度にもとづくもので、優先度が高いのが先に商標を使用していた者ではなく、先に出願した者とされているためです。
何十年と使っているのに、まったく関係のない誰かが商標を出願すれば、使用する権限を失ってしまいます。
不条理に感じるかもしれませんが、例外として万人が認めるくらい有名な商標がいくつかの要件を満たすことで使用権を得られるものの、多くの場合は先に出した者勝ちとなる制度なのです。
中小企業でも大企業でも自社店舗や商品・サービスがあるなら、早く押さえて知的財産権を確保することが重要としかいえません。
2つめのメリットは、同様の商標を他者に使用させない抑止力になることです。
自社のものでも登録がなければ使えなくなるように、他者が自社のブランドと告示した商品で商売を行うことをやめさせる権利が発生します。
よほど有名で周知の事実であれば登録していなくても不正競争防止法を持ち出すことはできますが、そもそも類似商品やサービスで自社の顔を汚されてしまうと自社の信用も失いかねません。
特に中小企業であれば大手のようなつぶしも利きませんし、少しでも有利な状況を確保する必要がありますので非常に重要です。
このように商標登録のメリットとデメリットは表裏一体であり、早く登録したほうが賢明だという結論になるのです。

 

■商標の近くに「R」マークを表示

商標登録すると、ブランド近くにマルアール表示ができます。
マルアールはアルファベットのRを○で囲ったマークですが、これはregistered trademark(登録済み商標)を意味するマークです。
簡単に付けてしまえそうですが、登録していないのにこのマークを付けると罰則対象となりますので、軽く考えて良いものではありません。
マルアール表示は不正競争の抑止力として使えるだけでなく、企業としてきちんと知的財産権の主張をし、正当なビジネスを行っているという社会アピールにもなります。
事業や活動において消費者から信用を獲得できることは大きなメリットといえるでしょう。
信頼性や安心感がビジネスを行ううえで非常に重要な要素であることは、もはや言うまでもないことです。
同時に、それらを失ってしまうことの重大性も想像に難くありません。

 

■インターネット時代ならではのトラブルも

恐るべきは自社が知らないうちに第三者が商標を登録してしまうというトラブルです。
特にインターネットに情報を掲示して集客を狙う場合、そこで使われている商品名や店舗名、サービス名のロゴマークやネーミングなどが勝手に登録されてしまうおそれがあります。
インターネットは非常に有効なツールではありますが、昔のように商品やサービスが有名にならない限り広く知られることがないという時代ではありません。
少なくとも情報を広く発信する前に、きちんと手続きを取って知的財産権を確保してからビジネスに及ぶほうが得策でしょう。
最悪なのは、すでに競合他社が商標を取得しており、知らないまま商売をすることでこちらが損害賠償請求を受ける側になることです。
思わぬ形で加害者側に回されてしまうことのないよう、細心の注意が必要でしょう。

 

■弁護士事務所へ相談を

商標登録はしなくても商売はできるものの、会社のブランドを守るためには、もはやメリットを超えて必須となりつつある時代です。
リスクを避け、社会的信用を得られるのであれば、主要な商品やサービス、店舗名などのロゴやネーミングを商標登録することがおすすめです。
どこから手をつければ良いかわからない場合やもっと詳細を知りたい場合は、詳しい弁護士のいる法律事務所に相談すると良いでしょう。
費用のかかることですが、登録に必要なのは商品やサービスの範囲によって決められた特許庁に収める印紙代ですので、これに関してはどの弁護士事務所でも全国共通です。
そのほかに弁護士事務所に支払う費用がありますが、総額は登録存続期間10年で割ってしまえば、月額数千円程度となるのが一般的でしょう。
ビジネスを守る金額とすれば決して高いコストではありませんし、手始めに5年分登録するという手段もあります。
商標権は使い続けている限り何回でも更新可能ですので、それも覚えておくと良いでしょう。

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