コラム

企業間取引でトラブルが起こらないようにするにはどうするべき?

■企業の経営には欠かせない他企業との取引

すべての経営を自社で賄っているという会社はなかなかいないでしょう。
どこの会社も自社では賄いきれない部分を、他社との取引で補っているはずです。
たとえば物を売っている会社は物を買ってもらう会社と取引をしなければなりませんし、逆もしかりでしょう。
このように企業間取引は企業にとってなくてはならないものです。
そしてグローバル化が進む社会においてこうした取引はより重要性を増していくものといえるでしょう。
たとえば外国の企業との取引も増えてきます。
そのほか、経営をスリム化するためにどこかの部門をよその小さな会社に外注するということも考えられるでしょう。
いろいろな取引の在り方が考えられますが、いずれにせよメリットがある一方でリスクもあります。
特に企業間との取引の過程でトラブルが起こりかねません。
ただ単に意見の食い違いならともかく、深刻なものになると経営を揺るがすような事態も起こり得ます。
場合によっては向こうの企業から法的措置を取られるようになるでしょう。
そうしたことに対してあらかじめ予防策を講じておくには越したことはありません。
今回は予防策を紹介していきます。

 

■相手の企業の情報をしっかりと知ろう!

他企業と取引する際には、その企業の情報をあらかじめ仕入れている必要があります。
他企業との取引でなんらかの支障が起きるケースとして考えられるのは、経営の行き詰まりによるものがあります。
たとえば、向こうの企業が取引を始める時点ですでに経営難に陥っていたとしましょう。
当然ながらこれから取引関係を結ぼうとしている企業がそうした情報を明らかにするはずはありません。
経営が危うい企業が他企業とまともに取引できる可能性は薄いからです。
しかしながら経営難に陥る企業にとっては、他企業との取引で少しでも経営が楽になれば、と藁にも縋る思いで提携にこぎつけようとしてきます。
とはいえ、最初のうちはその場しのぎができても、時間が経つにつれて経営は限界を迎えるでしょう。
そうした結果ある日取引先からの商品の送付がストップした、ということになりかねないのです。
仮に企業間でのやり取りが商品にとどまっているならまだしも、お金の貸し借りを行っていたとしたらなおさらリスクを抱えているとしかいえません。
では、これから取引を行おうとしている企業の経営状況をどうやって調べたらいいのでしょうか?
まずはその企業の業界における口コミを参照しましょう。
その企業と過去に取引を行ったことのある、という企業がいたら、積極的に情報を聞き出すのも一つの手です。
そのほか、最近ではインターネット上に企業の評判を掲載するサイトなども開設されるようになってきました。
あらゆる情報を見極めてその企業が信頼に足るかどうかを見極めるべきなのです。
続いて商業登記簿を見るようにしましょう。
商業登記簿に嘘の情報は書けません。
資本金はもちろんのこと、所在地なども見るべき情報の一つです。
というのも、一度他企業との間で失敗を犯した企業が、名前の知られていないよその土地で改めて経営再建を図る、という事例は少なくありません。
最後に押さえておきたいポイントとして挙げられるのは、契約の際に担保を設定しておくことです。
担保を設定しておけば、お金を返すことができない、となったときの補填ができるようになります。
何よりも担保は企業との取引を誠実に行うようにするための保証ともなりえるのです。
双方にとって信頼に満ちた取引を行うためにも、あらかじめ保証を作っておくことは欠かせないでしょう。

■コンプライアンスチェックも事前にしっかり

近年は企業の社会的責任CSRが求められており、企業自体や経営幹部、社員をはじめ、芸能事務所などに所属するタレント1人の法令違反行為や不適切な行為であっても、企業の信頼を失墜させる大きな問題となります。
不買運動につながるなど経営にも関わる問題であるため、日頃からコンプライアンス遵守を徹底しておかなくてはなりません。
特に反社との取引や関係を持ったことは社会的な批判が強く、経営ダメージが大きいため、取引を行うにあたっては、取引相手が反社ではないか、しっかりチェックすることが大切です。

・契約書や取引約款に暴力団排除条項を盛り込む

反社が取引先や株主となって不当な要求を行うといった被害を防止するため、契約書や取引約款には暴力団排除条項を設けることが欠かせません。
また、可能な範囲内で自社株の取引状況も確認するようにしましょう。
暴力団排除条項を設けるにあたっては、内容に問題がないか、企業間取引のトラブルに強い法律事務所に依頼し、契約書のチェックや取引約款の作成を弁護士に行ってもらうのがおすすめです。
暴力団排除条項の主な条項として、力団を始めとする反社が取引の相手方となることを拒絶する旨、取引が開始された後に反社と判明した場合や不当な要求を行った場合には契約を解除して取引から排除できる旨を盛り込むようにしましょう。

・取引先の審査や株主の属性判断

反社による被害を防止するため、あらかじめ反社情報を集約したデータベースを構築しておき、取引に入る前に相手先の審査や株主の属性判断に活用することがおすすめです。
データベースの構築に当たっては、暴力追放運動推進センターや他企業からの情報、実際に起きたトラブル事例をもとに逐次更新することが欠かせません。

・日頃から積極的に連携を

反社との思わぬ関係を結んでしまわないよう、日頃から予防体制を構築しておくことが大切です。
自社の取締役会をはじめ、対応部署や担当者を決め、顧問弁護士をはじめ、外部の専門機関の連絡先や担当者を確認して日頃から担当者間で情報交換を行うようにしましょう。
暴力追放運動推進センターや企業防衛協議会など、地域や職域の暴力団排除活動に積極的に参加することもおすすめです。

■契約書などの保管はしっかりと行っておこう!

続いて起こり得るトラブルとして挙げられるのが契約関係にまつわるものです。
企業間で取引を行うにあたっては契約は欠かせません。
契約は双方を縛るものであり、必ず守らなければならないものです。
これによって両企業はしっかりと仕事ができるといっても良いでしょう。
しかしながら、これを守らない企業も中にはいます。
たとえばあなたの企業がほかの企業に100万円規模の事業を任せたとしましょう。
ほかの企業は事業をうまく軌道に乗せ、その点で契約は守られたとします。
しかしながら、その企業が100万円ではなく200万円を求めてきたとしましょう。
その企業の言い分によれば、事業が思いのほかうまくいったからにはその分のお金を要求できるはずだ、というのです。
なんとも理不尽な話のように思えるでしょうが、実は企業間取引においてはこうした事例が少なくありません。
こうした争いが長期的になれば裁判にまで発展するという例もあるのです。
こういった事態はどのように防ぐことができるのでしょうか。

 

■どうやって防ぐことができるのか

一つはなんといっても契約書をしっかりと書き残しておくことにつきます。
特に押印などが押されている書類は絶対に破ってはいけないものです。
また、裁判などになった際には書類は何よりも大事な証拠物件となります。
これがないと裁判長はおろか、弁護士すらまともに取り合ってくれません。
こうした作業を怠った場合や口約束で取引を行った結果、後になって争いが起きた、という例もありますから、しっかりと書類は残しておくようにしましょう。
そのほか、証拠としてはやや弱いですがメールや手紙なども残しておくべきものです。
たとえば交渉を行う過程で、細かなやり取りだったため契約書として残すほどのものではないだろう、と判断するような取引は少なくありません。
とはいえ、やはりなんらかの形で交渉のプロセスを文書に残しておくことは欠かせません。
相手方から送られてきたメールなどはしっかりと保管しておくと良いでしょう。
そのほか、自社に筆記役を務めてくれる社員がいれば、何人かが集まって行った会議は必ず議事録を取っておくべきです。
一見面倒くさく思える作業かもしれませんが、後々の面倒を少なくしておくに越したことはありません。

 

■それでもトラブルが起きてしまったら……

ここまでさまざまな予防策を見てきましたが、すべての火種をあらかじめ消しておくのはやはり難しいです。
細心の注意を払って交渉の臨んだものの、思わぬところから相手に言いがかりをつけられてしまった、ということは十分に考えられます。
もしそういったことが起こった場合は、会社の顧問弁護士に相談するのが一番です。
あらかじめ常勤の顧問を雇っておけば、会社の経営状況などをつぶさに見ていることができるので、なぜこういったことが起こったのかをスムーズに把握することができます。
とはいえ、顧問を雇っておけるような大企業ならともかく、小規模の事業所などではそうした予防策を取るのはなかなか難しいでしょう。
その際はただちに法律事務所に駆け込むことをおすすめします。
確かに費用はかかってしまいますが、問題がこじれにこじれた結果、弁護士に残されたのは裁判だけ、となると仕事がしづらくなります。
何よりもいかに正当な主張をしていようと、ほかの企業と裁判を起こした経験のある会社だ、というイメージが付いてしまえば将来の経営にも支障が出るでしょう。
そうなる前に、法律事務所に相談したうえでどうすればトラブルを解決することができるかのアドバイスを受けておくことをおすすめします。
弁護士の仕事には裁判で弁護するだけでなく、当事者間の争いを裁判が起こる前に和解させることも含まれています。
トラブルを起こした企業と和解できればそれに越したことはありません。

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