コラム

事業継承の代表的な4つの方法について徹底比較

■事業承継には4つの手段がある

事業承継(事業継承)には以下の代表的な4つの方法があります。
・親族内への承継
・M&A
・自社株式売買
・信託

これらにはそれぞれ特徴や違いがあり、いずれの方法を選ぶかでその後が変わってきます。
日本では経営者の高齢化などを理由に、これらの手段を用いた事業承継が加速してきました。
特にこれまで経済を支えてきた中小企業では、次の世代へ理想的な事業の引継ぎができるかどうかは大きな課題です。
事業承継は事業のバトンタッチであり、バトンを受け取った後継者がしっかり会社を後世につなげていけるかどうかが重要なポイントと言えます。
目の前の日常に追われ、将来のことを考える余裕がない経営者の方々も多いですが、事業承継は経営者が現役の時代に確実に取り組むべきテーマです。
遠い未来のこととは考えず積極的に取り組む経営者だけが、真に成功する事業の受け渡しができることは間違いありません。
すべての企業がいずれ対峙するこの重要業務は、現時点で無関係な事柄だとは考えず、常に新しい情報を学んでおくことが重要です。
それでは現在主流となっている4つの方法について、それぞれメリット・デメリットを解説します。

■親族内への承継

経営者(企業オーナー)が、親族、特に子息に事業を引き継ぎ、事業を継続するのが親族内への承継です。
日本ではこのスタイルが古くから最も一般的でしょう。
親御さんが自分の築き上げた事業を子供に継がせたいと考えるのは、ごく自然な要望と言えます。
親族内への承継には2パターンがあり、生前贈与と相続という方法があります。
それぞれの特徴とメリット・デメリットについて解説しましょう。

・生前贈与

経営者が後継者の承諾を得て、株式や事業資産を無償譲渡します。
メリットは、経営者が自分の判断で引継ぎできるため、あとあとトラブルになることがほとんどないことです。
また無償譲渡となるため、引継ぎ時点で後継者に資力がなくても承継が可能となります。
親族が経営者になることで、従業員も納得しやすい環境が生まれるでしょう。
さまざまな面で事業の引継ぎがスムーズにいく期待があります。
デメリットは、後継者に贈与税などの税務が発生することです。
この後解説する「相続」と比較したときに、費用が安く抑えられることを理由に選択すると、落とし穴がある場合もあります。
たとえば不動産の名義変更をする場合は、登録免許税や不動産取得税が発生することになります。
贈与条件によっては遺留分の親族争いが起こることや何度も生前贈与すると国税庁に不審な目を向けられるリスクもあることを覚えておきましょう。

・相続

相続は、経営者が亡くなったあとに行われるものです。
民法では法定相続人全員に財産が分配されるルールになっていますので、まったく相続対策をしていなかった場合、事業財産が分配され企業が立ちいかなくなるおそれがあります。
事業継承で相続を選択するなら、後継者にあらかじめ事業用の財産を相続させる旨を明確に提示しなければならないでしょう。
後継者以外の法定相続人には、遺留分を侵害しない範囲で財産の分配を行うよう、公正証書遺言を作成するなどの対策が必要です。
メリットは事業用資産を後継者に相続させられることですが、それもきちんと遺言書で後継人を指定し、その旨を明記することが大前提となります。
デメリットは、たとえそうした遺言書を手配しておいたとしても、結局は法定相続人同士で紛争が起きやすい点が挙げられます。
こうした紛争を起こさせないため、遺言執行者を指定し遺言を実現させる手続きが別途必要ですが、こうした手続きを実施する中で肝心の事業の引継ぎに時間がかかるおそれがあるのです。
たとえ遺言書があったとしても、法定相続人には遺留分減殺請求などを起こす権利がありますので、法的な争いが生まれる可能性はゼロにはできません。

■M&A

M&Aは企業の合併と買収ですが、近年ではこの手段を使って中小企業が事業承継するケースが急増しています。
親族内や社内に適切な後継者が見つからない場合などに有効で、主に株式譲渡や事業譲渡などを用いる場合が多いです。
それぞれを解説しましょう。

・株式譲渡

売手側の株主が買手側に株式を譲渡することで、事業の引継ぎを行います。
中小企業ではオーナーである経営者や親族が株式のほとんどを有しているケースが多く、比較的スムーズに事業承継が行えるうえに事業を継続しやすくなります。
メリットは、あくまで株式の取引であり、複雑な手続きが必要ないことです。
従業員にとっても債権者にとっても株主が入れ替わるだけのことなので、同意も不要で事業もそのまま継続されます。
しかも経営者は現金をダイレクトに入手できるので、その点も大きな魅力でしょう。
デメリットは成立しないケースがあり得ることで、たとえば株式が分散してしまっていると成功しにくい手段となります。

・事業譲渡(一部)

会社の一部の事業を譲渡する手段ですが、ここでいう事業には、有体財産以外にも人材やノウハウなどの無形財産なども含みます。
取引関係や従業員の事業組織などもすべて財産として譲渡対象となる点が特徴です。
メリットは、売りたくない部分を対象から外すことができる点です。
逆に買手側は買いたい部分のみを譲り受けることも可能なため、交渉を成立させやすい点も挙げられます。
デメリットは、手続きが非常に複雑で煩雑になることです。
弁護士など専門家の力を借りる必要もありますし、売り手の嫌がる不採算部門をどう取扱うかが問題となりやすいでしょう。

■自社株式売買

将来的に後継者となる相手に、株式や事業用資産を売却する方法です。
メリットは経営者が自身の手で実施可能で、相続問題が発生しにい点が挙げられます。
デメリットは時価評価の決定が難しいことで、たとえば後継者の負担を減らすため不当に安価に設定したとみなされると、生前贈与として税務が発生する可能性があります。
また、後継者は株式や事業用資産を買う形になるため、取得資金を準備しなければなりません。

■信託

信託は、経営者が委託者となり、信託行為によって受託者に財産を託すという方法です。
受託者は定められた信託目的に従って財産を管理し、それによって生じた利益を委託者が指定する受益者に与えることになります。
メリットは柔軟性が高いことで、経営者は議決権を維持したまま後継者に配当を受ける権利を与えることができます。
後継ぎ遺贈型受益者連続信託という方法では、経営者が自社株を対象に契約し、受益者を後継者とすることで資金や期間に余裕を持たせることも可能です。
円滑な事業承継が可能となり、もし指定する後継者が亡くなっても次の後継者まで指定できるため、自身の意思が遺言を超えて尊重される環境が整います。
デメリットは受託者に法的義務が課されるため、なかなか引き受けてくれる人がいないことが挙げられるでしょう。
まだ浸透していない方法でもあり、賛同を得にくい点もデメリットです。

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