厚生労働省が4月「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書を公表しました。
平成28年度に実施した職場のパワーハラスメントに関する実態調査から4年が経過し、ハラスメントの対策に取り組む企業割合や労働者の状況も変化していると考えられることから、本調査を実施したとのことです。
報告書の発表を元に、抜粋します。
ハラスメントの発生状況や、ハラスメントに関する職場の特徴
過去3年間のハラスメント相談件数の推移については、パワハラ、顧客等からの著しい迷惑行為、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメント、就活等セクハラでは件数は変わらないと答える割合が最も高く、セクハラのみ「減少している」との回答が多かったようです。
過去3年間のハラスメント該当件数の推移については、顧客等からの著しい迷惑行為については「件数が増加している」との回答が多く、それ以外のハラスメントについては、「件数は減少している」との回答が多いようです。
ハラスメントに関する職場の特徴としては、パワハラ・セクハラともに「上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない」、「ハラスメント防止規定が制定されていない」、「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」、「残業が多い/休暇を取りづらい」等の特徴について、ハラスメントを経験した者と経験しなかった者の差が特に大きいようです。
ハラスメントを受けた経験
過去3年間での勤務先での経験有無・頻度を聞いたところ、各ハラスメントを一度以上経験した人の割合は、
パワハラが31.4%
顧客等からの著しい迷惑行為が15.0%
セクハラが10.2%
となっています。
過去5年間に就業中に妊娠/出産した女性労働者の中で、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを受けたと回答した人の割合は、26.3%であり、過去5年間の妊娠に至る前に、妊娠・出産等に関する否定的な言動(いわゆるプレマタハラ)を経験したと回答した者の割合は17.1%という結果になりました。
また、過去5年間に育児に関わる制度を利用しようとした男性労働者の中で、育児休業等ハラスメントを受けたと回答した人の割合は、26.2%です。
なお、回答者の中で、就職活動中またはインターンシップ参加中にセクハラを経験した者の割合は25.5%と、4人に1人の割合となっています。
ハラスメント行為を受けた後の行動
労働者に調査した、ハラスメントを受けた後の行動として、パワハラ、セクハラでは「何もしなかった」の割合が最も高く、顧客等からの著しい迷惑行為では、「社内の上司に相談した」の割合が最も高く、次いで「社内の同僚に相談した」が高いです。
パワハラの場合
何もしなかった 35.9%
社内の同僚に相談した 22.0%
会社の上司に相談した 18.1%
セクハラの場合
何もしなかった 39.8%
社内の同僚に相談した 18.3%
会社の上司に相談した 13.8%
顧客からの著しい迷惑行為の場合
社内の同僚に相談した 48.4%
社内の同僚に相談した 34.0%
何もしなかった 24.3%
ハラスメントの予防・解決のための取組
パワハラ、セクハラおよび妊娠・出産・育児休業等・介護休業等ハラスメントに関する雇用管理上の措置として、「ハラスメントの内容、ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化と周知・啓発」および「相談窓口の設置と周知」を実施していると回答した企業は約8割程度で、「相談窓口担当者が相談内容や状況に応じて適切に対応できるための対応」の割合は全てのハラスメントにおいて約4割程度にとどまっています。
企業がハラスメントの予防・解決のための実施している取組
ハラスメントの予防や解決のために、起業が実施している主な取り組みは以下の通りです。
- 事業主自らがハラスメントに対する関心と理解を深め、労働者(他社の労働者や求職者を含む)に対する言動に注意を払うための取組
- ハラスメントの内容、ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化と周知・啓発
- 行為者に厳正に対処する旨の方針・対処の内容の就業規則等への規定と周知・啓発
- 相談窓口の設置と周知
- 相談窓口担当者が相談内容や状況に応じて適切に対応できるようにするための対応
- 相談者・行為者等のプライバシー保護のための措置の実施と周知
- 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益取扱いをされない旨の定めと周知・啓発
- 業務体制の整備など、妊娠等した労働者等の実情に応じた必要な措置の実施
- 自社の従業員がハラスメントに対する関心と理解を深め、他社の労働者や求職者等に対する言動に注意を払うための取組
- 事実関係の迅速かつ正確な確認
- 再発防止に向けた措置
- 被害者に対する適正な配慮の措置
- 行為者に対する適正な措置