■事業再生とは?
事業再生とは、会社の経営が苦しくなり倒産危機に陥ったとしても再建を目指すことのできる手法です。
事業再生を行うことで倒産の危機から脱出し事業を継続することも可能になります。
もちろん今後の倒産リスクを最小限に抑えるために事業の見直しも同時に行います。
利益の獲得を期待できない事業に関しては、改善計画を練るなど事業の立て直しに向けてできる限りの対策を図るのも事業再生の取り組みの一つです。
会社の経営難を解消するには、過剰に抱えてしまった債務の見直しを行うことが欠かせません。
再生手続きを行うことによってただ負債をなくすだけでなく資金繰りに困らないようキャッシュフローを見直していく必要もあるでしょう。
事業再生を行うには、特別な規定は設けられていません。
会社の存続が危ぶまれており倒産危機に陥っているのであれば、まずは専門的な知識を兼ね揃えている弁護士に相談してみることも早期改善の策となります。
ただし事業再生の手続きを行う際には、闇雲に手続きを進めることはおすすめできません。
たとえ手続きを行ったとしても今後の事業の価値を見出すことができなければ再生は困難です。
一つの判断基準として手続きを行ったことで負債をなくし、さらに資金繰りに悩まされてしまうことはないかを見極めてみることも大切です。
事業再生には、法的再生と私的再生の2つがあり、それぞれ特徴は違います。
法的再生は、今ある負債を整理し事業の立て直しを目指します。
手続きを完了させるまでに長期間を要するというデメリットがありますが、経営権を他者に渡すことなく事業を継続できるのがメリットです。
一方で私的再生は、法的再生とは違い、法的な手続きを行うことはありません。
債権者との話し合いの場を設けて事業の再生を図る方法です。
私的再生を行った場合、対象となる債権者の同意を得なければなりません。
手続き自体は、法的再生と比較すると負担は大きくないものの、債権者の同意を得ることができなかった場合にはスムーズに事業再生を実現できないといったデメリットがあるでしょう。
このように事業再生といってもさまざまな方法で手続きを行うことができますが、個人ですべてを賄うことは困難です。
スムーズに事業の再生を目指すには、専門的な知識を要します。
また、手続き後に新たに経営難に追い込まれてしまうことがないように破産状態に陥ってしまった原因を解明する必要があるでしょう。
現段階での会社の問題点や状況をしっかりと把握することは、再生するにあたりとても大切なことです。
さらに会社の問題点や状況を解明した後には、適切な方法で再生手続きを行わなければなりません。
現在置かれている会社の状況によって適切な再生方法には違いがあるので、まずは法律のプロである弁護士に相談してみることをおすすめします。
■弁護士に相談するメリット
事業再生の手続きをスムーズに行い、短期間で会社の経営難から立て直すには弁護士が強い味方になってくれます。
会社の再生手続きを行うにあたってキャッシュフローの見直しをするのはもちろんのこと、再生後の事業計画も改めて立て直さなければいけません。
また、事業再生を行う際には、ある程度のまとまった資金を用意することも求められます。
事業再生手続きは、法的再生を行うか、または私的再生を行うかによって手続き方法には違いがあります。
事前にやらなければならない準備や手続きの流れにも違いがあるため、特徴や注意点を把握しておく必要もあるでしょう。
法的再生手続きを行う場合には、裁判所に申し立てをしなければなりません。
そのため、専門的な知識が必要となり、法律の専門家の力を借りることが最も解決の近道となります。
弁護士に相談することで事業再生に関する知識を深めながら手続きを進められるだけでなく、不安や疑問もスッキリと解消することが可能です。
さらに弁護士からのアドバイスも仰ぐことができるので、適切な方法で会社の立て直しを図れます。
会社の利益の低下に悩んでいる場合や倒産危機に陥っている、さらには資金繰りに悩まされているという場合には事業再生手続きを行うことで早期に立て直せる可能性があります。
弁護士に事業再生を依頼するという経営者も多く、その理由として現状の把握をスムーズに行えるだけでなく経営戦略まで明確にできるのもメリットです。
新たなトラブルを抱えることなく弁護士の力を借りて会社の立て直しを図るのであれば事業再生が得意な弁護士や弁護士事務所を選んでみると安心です。
実績豊富な弁護士に依頼することで早期解決を目指せます。
また、税務関係の知識を兼ね揃えている弁護士であれば、より強い味方になってくれることでしょう。
■費用はどれくらいかかる?
弁護士に依頼した場合、高額な費用が発生するのではと不安になる方が大半です。
迅速に会社の経営状況の立て直しをしたいと思っていても高額な弁護士費用がかかるのではと不安を感じ、相談することに躊躇してしまうという方も少なくありません。
もし、弁護士費用に不安を感じているなら、まずはどれくらいの費用がかかるのか、大まかな費用相場を確認しておくと良いでしょう。
事業再生を弁護士に依頼した場合、利用する弁護士事務所によって違いがありますが、基本的に弁護士費用のほかにも裁判所に納入する資金も用意しなければいけません。
弁護士費用の中には相談料や着手金のほか、成功報酬金などが含まれています。
まずは相談から始めてみたいという方も少なくありませんが、無料で相談を受ける弁護士がいる一方で、30分あたり1万円前後の費用を取るケースもあります。
着手金や成功報酬金は、抱えている負債総額によって違いがあるので注意が必要です。
負債総額が大きければ大きいほど着手金や成功報酬金は高額になります。
一般的な費用相場を確認してみると成功報酬は、着手金の2倍程度になっています。
もちろん弁護士費用は、必ずしも一括で支払わなければいけないという決まりが設けられているわけではありません。
利用する弁護士事務所によっては、分割で支払いが可能になっているところもあるので安心です。
費用に関する不安がある方は、まずは弁護士に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
事前に詳しい見積書を提示してくれるところもあるので、料金トラブルを抱えてしまうことがないように費用にじっくりと目を向けてみると良いでしょう。
また、適正費用をきちんと把握するために複数の弁護士事務所に見積もりを依頼することをおすすめします。
特に成功報酬は、弁護士事務所によって大きな差があるので、妥当な費用を支払いたいと考えているのであれば納得できるまで弁護士に相談することが欠かせません。
■事業再生の期間について
事業再生手続きをすべて完了させるまでには、長い期間を要します。
それぞれの会社の状況によって期間には違いがありますが、長期化してしまうケースも少なくないのが現状です。
会社が抱える問題が複数に及ぶ場合には、解決に向けてさまざまな策を練らなければなりません。
資金繰りに悩まされているケースであれば安定するまでに1年以上の期間が必要になることもあるでしょう。
倒産危機に陥っている会社では、費用の問題が発生します。
手元に残されている資金が少ないことも多く、資金不足によりスムーズに再生手続きを進められない会社も少なくありません。
法的再生手続きを行う場合には、まずは弁護士による法律相談からスタートしてみると安心です。
会社の現状をしっかりと把握したうえで適切な方法で手続きを進めていくことが可能になるため、短期間の解決を目指すこともできるでしょう。
実際に法的再生手続きを進める際には、弁護士を代理人として行う会社も多くあります。
弁護士に再生手続きを依頼すると民事再生の申立書や保全処分の申立書の準備もすべて代理で行うため、トラブルがありません。
さらに、ただ手続きを行うだけでなく債権者への説明義務も発生しますが、弁護士に同席を求めることも可能となっているので、経営者の負担を大幅に軽減することができます。
民事再生手続きの申し立てを行ってから1週間ほどが経過すると再生手続き開始の通知書が郵送されてきます。
その後は、債券の手続きを行うことや財産価格の評価のほか、賃借対照表の作成、業務の状況などさまざまな報告書を裁判所に提出しなければなりません。
民事再生申し立てを行ってから再生計画案を提出するまでに3ヶ月程度かかると言われていますが、会社の状況によっては再生計画案認定決定から弁済完了までに10年近くもの期間を要するなど長期戦を覚悟しなければならないケースもあります。
事業再生に強い弁護士の力を借りることでスピード解決へとつながるので、まずは実績豊富なプロの弁護士を探すことから始めてみてはいかがでしょうか。