■限界になる前に法人の破産手続きを知っておきましょう
このままいくと本当に会社が危ないかもしれない……と感じた時には、破産も頭の中をよぎるでしょう。
できる限りのことをして持ちこたえたいと思いながら、これ以上は限界もしれないと感じる時には法人の破産手続きについて知識をつけておきましょう。
こちらでは、どんな流れか、事前に準備はしておいたほうが良いこと、費用や影響なども説明していきます。
いざという時のために、どのように行うのか参考にしてください。
■法人の破産手続きについて
もうこれ以上は持ちこたえられないと感じてしまったり、債務が膨れすぎてどのようにしたら良いのか手立てがもうないと思ってしまったりした時に、破産手続きをするという方法があります。
会社の経営が難しくなってしまった場合に、弁護士を通して破産の申し立てを裁判所に行うと、破産手続きが行えます。
清算をすると、これまで借金が多数あり膨れ上がっていたものを返済しなくても良くなるのです。
法人で破産の申し立てを行うと、裁判所が破産管財人を選任してくれます。
会社にはお金になりそうな財産はないのかチェックをし、売却や回収などもしてお金に換え、債権者に支払いをします。
今後の借金の返済はありませんが、会社も失いますし、財産となるものもなくすのは覚えておきましょう。
この時、会社の破産手続きにはなるのですが、同時に保証人になっている経営者も一緒に自己破産をしなければならなくなります。
保証人というものになっていると、万が一払えなくなり破産手続きをしてしまうと今度は自分に回ってきてしまいます。
会社と同時に保証人の破産手続きも一緒に進んでいきますので、こちらも覚えておきましょう。
後数ヶ月は持ちこたえられそうと思っても、早めに破産手続きも視野に入れておいたほうが良い場合もあります。
ただ少しでも余裕があり、もう少し頑張れそうだという場合は、持ちこたえたい気持ちもわかります。
もしかしたら今はどん底でもこの先は回復するかもしれないと思ってしまうかもしれませんが、タイミングが遅くなってしまうと一緒に働いている従業員やお金を貸してくれている債権者にも大きく迷惑をかけてしまうのです。
このままでは危ないかもしれないと思った時には、自分だけで抱え込まずに専門家などに相談してみましょう。
■事前に準備しておくべきこととは?
このままいけば危ないと思ったらその時に備えておくのも大切です。
専門家に相談をすると状況からどのようなことを事前に準備しておけば良いのか教えてもらえますので、まずは話をしてみましょう。
細かく準備するものは、会社の状況によっても異なります。
破産をいざしようと思っても、簡単に手続きが終了するわけではありません。
法人でどのくらいの資産を持っているのか把握しなければならないですし、書かなければいけない書類なども多数あります。
不渡りがわかってからの準備は、心も体も相当消耗していまいます。
債権者としても早く払ってほしいという気持ちもあり、会社にしつこく電話をして取り立てしてくるのです。
本来の仕事どころではなくなり、頭の中が借金のことだらけになってしまいます。
しっかりと弁護士に相談をしておけば、いざという時に少しでも早く取り立てを止められるようにできますし、申し立てをすることで今ある財産を管財人に管理してもらえるため安心です。
お金が絡んでくることでもあり、破産の申し立てを行う際には会社の経理の過多にも伝えておいたほうが良い場合も出てきますので覚えておきましょう。
■法人の破産手続きの流れとは
経営を続けていくのは無理かもしれないと感じたら、まずはじめに弁護士に相談をします。
この時、どのような経緯で行き詰ってしまったのか、現在債務は合計いくらで何のいくつの会社から借りているのかなどを聞かれます。
ほかにもさまざまな破産手続きに関する会社についての質問をされますので、答えていきましょう。
この後、債権者に対し破産予定であるという旨の通知をしますので、この受任通知を送ることでこれまで厳しい取り立てをされてきた方も直接会社には電話がこなくなります。
朝から晩まで1日中取り立てをされ眠れない日々を過ごしてきた方も、電話や直接の取り立てがこないので精神的にも少し楽になるでしょう。
これまで支払いに回ってしまっていたお金を支払わなくても良くなりますので、そのまま溜めて弁護士費用などに充てられるようになります。
従業員がいる場合は解雇も必要になってきますし、テナントに入っていて借りている場合は立ち退きを行います。
タイミングなどは弁護士がアドバイスしてくれますので、言われた通りに手順を踏んでいけば問題ありません。
この後、申し立てに必要な書類などを準備するのですが、必要な資料を提出する必要があります。
結構必要な書類がありますので、覚悟して早く集められるように準備しましょう。
例としては直近2期分の決算書や有価証券やゴルフ会員権などがある場合は、証券のコピー、預金通帳も必要にあり過去2年間分を記帳したものも必要です。
ほかにも多数ありますので、弁護士に聞きながら準備を進めていきましょう。
書類が完成したら裁判所に破産の申し立てをし、裁判所から破産手続き開始の決定をしてもらい裁判所での破産手続きが本格的に行われます。
だいたいが担当の弁護士が破産管財人にもなりますので、しっかりと話をしてさらに手続きを進めていきます。
財産にあたるものがあれば、破産管財人が法人の財産を売却しお金にするのですが、具体的には在庫、所有不動産や車などが売却の対象です。
債権者集会でどうして破産をすることになってしまったのか、経緯を話していきます。
ただ実際には債権者が集まることはほとんどなく、破産管財人や破産する法人の代表者などで集会をすることが多いです。
ここではどのように手続きが進んでいるのか、確認することもあります。
財産の売却がすべて終わったら、お金を債権者に配当してやっと終了となります。
■法人破産手続きの期間はどのくらい?
流れを見て見ると感じると思いますが、3ヶ月前後では終わらない内容となっています。
法人破産手続きは、だいたいすべてが終了するまでに6ヶ月から1年はかかると思っていたほうが良いでしょう。
さまざまな書類を準備してやっと裁判所に申し立てることができますので、ここまでに早ければ3ヶ月、遅くなってしまうと6ヶ月以上かかってしまう場合もあります。
さらに裁判所に申し立てて手続きが終了するまでも、そんなに財産がなくお金に換えるものがなければ早くて3ヶ月、さまざまなお金に換えられそうなものがある時には6ヶ月かかります。
順調にいくケースもありますし、なかなかお金に換えなければいけない不動産が売れない場合など長引く場合もあるので覚悟が必要です。
■法人の破産手続きの費用
破産手続きを行う際にかかる費用は、弁護士費用だけではありません。
このほかに裁判所予納金、実費などもあり、ある程度お金がかかってしまいます。
弁護士費用に関してはそこそこの事務所によって変わってきますので、頼む時にいくらくらいかかるのか聞いておくことも大切です。
一般的には弁護士費用は50万円前後、裁判所予納金や官報公告費は21万8,197円、このほかにも実費として4万円前後はかかってきてしまいます。
さらに代表者も一緒に自己破産する場合がほとんどですので、こちらは別途料金がかかり、30万円程度かかります。
正直お金がなくて困っているから破産すると思いますので、こんなに費用を支払えないと思っている方もいるでしょう。
弁護士事務所ではすぐにすべての金額を払えない時には一括での支払いにも対応していますので、今すぐには難しい場合分割払いについて相談してみましょう。
■法人の破産手続きの影響
個人で破産をするよりも、法人での破産は規模が大きければ大きい分さまざまな人に影響が出てきてしまいます。
代表者や取締役もですが、従業員は解雇になりますし、取引先の企業にも多大なる影響を与えることにはなります。
代表者などが連帯保証人になっている場合、自己破産をしないと借金をすべて背負うことになり大変です。
金融機関からの借り入れの際にも、連帯保証を誰かにしていたとしたらその方も自己破産が必要となります。
重大な過失があった場合には、代表者や取締役の方は損害賠償請求されるケースもありますが、これは稀で何も違反していることがなければ大丈夫です。
ただ破産をするということで、官報や帝国データバンクなどに情報が記載されますので社会的な制裁は受けます。
社員は原則解雇で、本当にお金が尽きてしまっていると給与など支払いができなくなる場合もあり、迷惑をかけてしまいます。
■法人の破産手続きにはメリットとデメリットがある
まず法人破産のメリットとしては、債務者がこれまで資金繰りのことばかりで督促に悩み心や体力の消耗をしていた中から、弁護士に相談し開始することで借金から解放されます。
再建型の時に比べて、債権者との直接の話をする場もほとんどなく、精神的な面では心が楽になるでしょう。
代表者個人に借金が回ってきても、一緒に自己破産も可能です。
債権者にも財産をお金に換えたものから平等に弁済を分配されますので、ほかの債権者に比べて自分のところだけ少ないということもありません。
デメリットとしては、事業が継続できずに頑張ってきた会社も仕事も失ってしまうことです。
代表者としても信用を失ってしまい、新しくローンを組むのは10年程度難しくなってしまいます。
■覚悟は必要ですが楽にはなる
法人の破産手続きは準備する書類なども多く、ある程度の期間が必要です。
これまで督促の電話や直接会社へ取り立てに来るということで悩んでいた方も、会社は失ってしまいますが借金の悩みからは解放されます。
心が苦しくなり眠れない日々は終わり、次へと前に進むことができるでしょう。
デメリットとして代表者としての信用を失う、会社や仕事がなくなってしまうことについては覚悟が必要です。