コラム

債権譲渡担保とは?メリットや注意点を解説

■債権譲渡担保とはどんなものなのか?

取引先からしっかりと代金の回収ができるかどうか不安を感じるよりも、何かあっても債権を回収できるように債権譲渡担保を利用しておきたい方もいるでしょう。
ただどのようにすると良いのか、いまいちわからない方もいるのではないでしょうか。
自己判断で債権譲渡担保を行ったつもりでも、裁判所で無効という判断をされてしまったりいざというときに回収できなかったりしてしまいます。
正しく手順を踏んで、効果のあるものにしておかなければいけません。
今取引している会社が、急に斜めになってしまいあっという間に倒産してしまったらそれまでの代金を回収できずに終わってしまいます。
そのような事態にならないために、債権譲渡担保というものがあり、万が一取引先が倒産などで代金不払いになってしまったとしても、取引先が持っている債権を担保に取れる方法になります。
困った状況になってしまっても、担保に取っていた債権を直接回収できますので支払金を取引先から貰うべき代金に充てることが可能です。
本来貰えるお金が貰えないまま終わってしまうと、自社も一緒に代金不払いのせいで会社が斜めに傾く心配が出てきてしまいますが、債権譲渡担保を使うとリスク予防できます。
自社の製品を販売する際に卸売業者を通している場合、債権譲渡担保を利用しておけば万が一卸売業者が何かしらの理由があり支払いできないとなってしまっても、自社で直接卸売業者が利用した小売店から回収できるようにもできます。
どこかの業者を間に挟んで取引をしたとしその業者が破産などしてしまって支払いができない状況になっても安心です。

■どんなメリットがあるのか?

取引先の会社の様子がおかしい、支払いが遅れるというときにはこれは危ないと思っても経営に行き詰まった状態ですので、回収に行っても貰えないことがほとんどです。
そもそも支払う資金もないから遅れるということにつながってしまうので、あまり意味もなく、自社としても泣き寝入りのようになってしまいます。
もしこのような状況が起きてしまっても、債権譲渡担保に取っていれば取引先の債権を取引先の債務者からダイレクトに支払いを受けられますので自社には問題なく資金が入り回収できます。
普通は取引先が万が一破産してしまった場合は支払いをまったく受けることができないか、わずかにでも財産が残っていればそれをほかの債権者と分けわずかにしか受け取れません。
しかし万が一破産というときでも、担保に取っていた取引先の債権直接回収できますので、自社にとっても心強いでしょう。

■有効にするためには注意点を知らないといけない

これなら良いことばかりなので早く手を打たなければと感じてしまうかもしれませんが、正しく行っていないとどんなに頑張ってそのときになってから主張しても却下されてしまいます。
悔しい思いをしないように注意点は何回も確認し、漏れのないようにしておきましょう。

■担保に取る債権はどれにするか特定を

アバウトに担保を決めてしまうと、いざ取引先の会社が倒産してしまって債権回収を行いたいと思ってもできなくなります。
無効にされたら悔しいですし、できると思っていた資金になるので自社の資金繰りも大変になってしまいます。
まず担保に取る債権がどれなのか、明確にして契約書でも特定するようにしましょう。
債権の種別と債権発生の原因を漏れなくしっかりと記入する必要があります。
実際にトラブルなどもあり最高裁の判例では、債権の譲渡の目的とする場合は、期間の始期から終期を明確にするなどして譲渡の目的とされる債権が特定されるべきとしているため、これらをしっかりと守らないと無効になってしまいます。
契約書を作るときには、必ず担保に取る債権の発生原因、担保に取る債権の額そして一定期間に発生する債権を担保に取る場合は始期と終期の記載は必須です。
(参照元:http://www.moj.go.jp/content/000052602.pdf)

■譲渡ができないようにされている場合もある

契約書をよく見ると債権譲渡禁止特約が付いている場合があり、担保に取りたいと思っているのに禁止されているケースがあります。
このような事例は日本の場合結構多く、この文面を見てしまうと本当は債権譲渡担保にしたいけれども諦めなければいけないかもしれないと感じてしまうかもしれません。
実際にはこのような禁止となっている場合でも、預貯金債権以外の場合は担保に取るような債権譲渡担保も法律上有効になります。
そして万が一まだ資金を回収していない取引先が急に破産してしまったとして、担保に取っていたものに禁止の特約が付いていたとしても、直接債権を回収して支払いを受けられることができることが法律上定められているので、諦めることはありません。
破産の場合はこのような決まりがありますが、そこまでに至っていないときでも差し押さえを早く行うためにもメリットがあります。
取引先の債権の内容を正確に把握しているということが、債権回収の際に改めて差し押さえられるので、取引先から債権の回収を受けることもできます。
一見債権が回収できないようになっている譲渡禁止特約ですが、法律を見ていくと回収できますので諦める必要がありません。

■契約書を作成しただけでは認められない

債権譲渡担保を作成し取引先とやりとりしただけでは足りず、対抗案件の取得も事前にしておかなければいけません。
もう契約書を準備したのだから良いのではないかと思ってしまいがちですが、単にそれだけでは足りず設定したということを第三者にもわかるようにしなければなりません。
これには2つの方法があり、担保に取った債権の債務者に内容証明郵送を送る方法か債権譲渡登記をする方法があります。
この証明証を郵送するときには、取引先かもしくは自分たちで送るようになるのですが、そのためには取引先の協力が不可欠です。
後から郵送の際に協力してほしいといったときに難色を示されないためにも、事前に債務譲渡担保設定契約書に協力を必ずするという旨を入れるようにしましょう。
事前に約束があれば取引先も拒むことはできないので、必ず文言は入れます。
ただまだ債権者が決まっていない場合はすぐに送って約束したいと思っても送る場所がないというデメリットもあります。
こうなってしまったときでも諦める必要はなく、債権譲渡登記という手続きを行えば内容証明郵送を送らなくても対抗要件を取ることは可能です。
ただ手続きをする際に自社だけでは行うことができず、必ず取引先と一緒にしなければならないので注意が必要です。
どこで手続きをするかというと、司法書士などへ行き相談をします。
費用もかかるのですが、担保にする債権が多いとそれに伴って費用もかさみます。

■取り立ての権限消滅も決め定めていないと無効になる

取引先が万が一不払いになったときには、担保にした債権は自分たちで取り戻さなければいけないので、取引先が担保に取った債権を回収できないようにしなければなりません。
不払いが起きたときに瞬時に取り立て権が消滅するようにしておかないと、勝手に自分たちで回収する前に取引先が回収してしまうと、担保にした債権が貰えなくなってしまいます。
何も通知なく勝手に債権の弁済を受けられないように、こちらも債権譲渡担保に記載しておく必要があります。

■どんな風に手続きを進めていくのか

自社側でどんなに債権譲渡担保を設定したいと思っても勝手にはできないので、まずは相談をして取引先の協力が必要です。
その後万が一債権が回収できなかった場合に実行される契約書を作成するため、担保に取る債権は明確にして記載して債権譲渡禁止特約が付いていないかどうかも確認をします。
対抗案件の取得方法をどうするのか取引先と話し合いをし、さらに取り立て権限消滅についても必ず定めた書類を作成します。
そして作成した契約書を、対抗案件を取得するために証明を送るか登記の手続きを行い、万が一支払いが遅れたときには実行をするという流れです。

■債権譲渡担保に詳しい法律相談所にお願いすると安心

取引先の方が納得してくれても自分たちだけで契約書を作成してしまうと、いざというときが来たときに抜けている箇所やミスに気付かなかった箇所があると無効になってしまいます。
これまでの作業も無駄になってしまいますし、何より入ってくるはずのお金が入ってこないので資金繰りも大変です。
そうならないためにも、債権譲渡担保により詳しい法律相談所でプロに話を聞いてもらいベストな方法で契約を交わしたほうが安心です。
対抗案件の取得なども相談できますし、いざというときにも効力を持つ契約書があるのでお金をまったく回収できずに終わってしまう心配がなくなります。
ただ債権の場合は早ければ早い程良いので、いざというときには躊躇なく弁護士に相談し迅速に対応しましょう。

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