コラム

企業法務って?弁護士は何をしてくれるの?

■ 守るべき法令が多い企業を取り巻く環境

企業を経営し、日々の業務を遂行していくうえでは、さまざまな法律が関連し、それを遵守するコンプライアンスが求められます。
顧客や取引先との売買契約や賃貸契約、その他の契約に求められる商法をはじめ、国際的な取引では各国間との国際法規や条約なども関連してきます。
消費者との取引においては消費者契約法や通信販売法をはじめとする、さまざまな消費者保護の法令やルールがあり、それに違反すれば業務停止や企業名の公表などのペナルティを受けることもあり、コンプライアンス違反は企業にとって信頼損失を招く大きなリスクです。
あらゆる企業に求められる個人情報保護法もあり、情報漏洩や流出が起これば、情報が洩れた顧客や取引先にお詫びとして金銭や商品券などを配布するケースも多く、多額の損失も発生しかねません。
また、法令に基づく運用が特に求められる金融機関では銀行法や保険業法をはじめ、金融商品取引法など一般投資家を保護するための法令も遵守することが必須です。
企業内で顧客や取引先との契約書類を作成することや金融商品その他の商品の営業や販売を行う際に求められるルールに沿っているかをチェックしておかなくてはなりません。
専門知識が必要であることから、一般的には顧問弁護士によるチェックや大手企業などでは法務部で専門家のアドバイスを得ながらチェックが行われています。
近年は著作権や商標権、特許権や肖像権などにも敏感な動きが増しているため、思わぬところで権利を侵害して訴えられる場合や逆に自社で有している権利を侵害される可能性も増えてきました。
こうした権利侵害を巡る裁判などでも、顧問弁護士による支援が欠かせません。

 

■ 労務におけるコンプライアンス

顧客や取引先など対外的な面での企業法務はもとより、内部での法令遵守も必須です。
従業員の雇い入れや雇用していくうえでは、労働基準法や労働安全衛生法などの労働法を遵守しなくてはなりません。
法令に基づいた就業規則の作成と運用も求められます。
残業代未払いなどの違反が発覚すれば労働基準監督署による指導や勧告などが行われるほか、ニュースなどで取り沙汰され、ブラック企業などとして信頼を落とすリスクも潜んでいるのです。
健康保険法や厚生年金法などに基づく、社会保険の適用や年に一度の健康診断の実施など、守らなくてはならないルールは山ほどあります。
近年はパワハラやセクハラで企業の管理職などが訴えられるケースも増え、企業としても責任が追及されることが増えてきました。
日々の労務管理でのコンプライアンスをはじめ、就業規則の作成や改定時のチェック、万が一、従業員や元従業員などに残業代未払いや解雇無効などの訴えを起こされた場合やパワハラやセクハラに関して損害賠償請求や慰謝料請求などを起こされた場合にも、顧問弁護士の出番です。

 

■ 大手企業は法務部がある

大手企業や中小企業でも規模が比較的大きい企業では、内部に法務部が設けられているのが一般的です。
法令の知識に明るい従業員が日々の業務を担うほか、複雑な案件や特別な案件については顧問弁護士に依頼をすることや必要に応じて助言や最終確認などをしてもらいながら運営されています。
契約書類のチェックをはじめ、取引に必要な約款やルールの作成、商品の販売に必要な各種書面やクーリングオフ書面のひな型の作成などを専門家の協力やチェックを受けながら実施しているのです。
トラブル発生時に記者会見などを開くのも、一つの役割といえるかもしれません。

 

■ 中小企業は顧問契約が一般的

中小企業の場合、専門的なスタッフが揃う法務部がないケースが多いです。
自社で賄えない分、法律事務所と顧問契約を結んで、必要に応じたチェックや助言などを得ながら、コンプライアンスを実践しています。
大きな取引における書面の作成を依頼することやチェックをしてもらうほか、取引先や顧客との間でトラブルが発生した際や従業員や元従業員、従業員の遺族などとの間で発生した労務関連のトラブルの解決も支援してもらえます。
そのほか、取引や企業が引き起こした損害を巡って裁判に訴えられたケースや逆に商標権や著作権その他の事柄で企業などを訴えたい場合に裁判の代理人として裁判での弁論や訴訟の提起を担ってくれる存在です。

 

■ M&Aの支援まで

企業における日常の業務や日々の取引における法令遵守を徹底するためのサポートやトラブルや裁判などが起こったときの対応だけでなく、近年増大しているM&Aにおいても、弁護士が活躍します。
M&Aは特別な知識やノウハウなどが必要となるため、一般的には顧問契約を結んでいる法律事務所ではなく、企業コンサルティングや国際的な取引、合併や買収に精通した法律事務所を探して相談、依頼をするのが基本です。
法律事務所によってサービス内容は異なりますが、他の専門家や専門業者などと連携しながら、買収予定の企業の信用調査や条件交渉、契約書類の作成や契約時の同席まで幅広く対応してくれます。

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