コラム

個人の債務整理で気をつけたいトラブル

■債務整理にはトラブルがつきもの

借金が返済できないときの最終手段の1つとして債務整理に踏み切るということはよくあります。
個人で債務整理をする人も少なくありませんが、個人再生や自己破産など、異なる理由で整理するにしても、通常は弁護士など専門家に相談しながら手続きを進めるのではないでしょうか。
債務整理の手続きの過程で、トラブルに発展する珍しくありません。
しかし、できるだけトラブルに巻き込まれることなく手続きを済ませたるのが理想です。
この記事では、債務整理で起きやすいトラブル事例と巻き込まれないための対策、そして、トラブルに巻き込まれてしまったときの対処法についてご紹介します。

■債務整理で起こりがちなトラブル事例

債務整理でトラブルが発生するのは、手続きを依頼する人と依頼先の弁護士や司法書士との間です。
どんな問題が考えられるのでしょうか。
実際の事例をいくつかご紹介します。

・「相談だけ」だったはずなのに契約させられてしまった

法律事務所や司法書士事務所では、無料相談や無料診断を実施しています。
こうした無料サービスは、抱えている問題について話を弁護士に聞いてもらい、今後の展開についてアドバイスを受けることを目的としていますが、相談したからといって、必ず契約しなくてはいけない、という決まりはありません。
しかし、中には相談者に対し、強引に契約しようとする事務所もあります。
強く言えずに契約してしまい、後悔したという事例は、よく見られます。

・思うような成果が得られなかった

債務整理を依頼したのに、思ったように成果が得られなかったというトラブルも、珍しくありません。
相談時には、「過払い金はかなり高額になる」と言われたのに、実際に依頼してみると戻ってきた過払い金はかなり少なかった、というような場合です。
こうしたギャップが出てしまうのは、主に依頼した弁護士や司法書士が、債務整理についての実務経験が少ないということが挙げられます。
もしくは、初めから回収する気はなく、単に儲けを目当てに高額な過払い金が戻ってくるといった可能性もあるのです。
実績の少ない弁護士や司法書士が担当すると、期待通りに手続きが進まない傾向があります。
また、債務整理について理解が不足していることによって、間違った説明をし、その結果、依頼主が高額な過払い金を過度に期待することにつながるのです。

・担当者がコロコロ代わって手続きが進まない

債務整理の手続きをしている過程で、毎回担当者が代わって困るというのも、よくあるトラブルの一つです。
事務所に訪問するたびに担当が代わってしまうと、話が噛み合わなくなったり、前の担当者と言っていることが異なったりするなど、依頼主はどうしたら良いか、わからなくなってしまいます。
この場合は、当然不信感も募るでしょう。

・こちらの意に反して、早期和解に持ち込もうとする

過払い金の額は、和解交渉が成立し、合意した金額よって決まる傾向があります。
しかし、通常は、貸金業者の都合によるところが多く、貸金業者は、できるだけ少ない額を提示して、済まそうとします。
手続きの依頼を受けた弁護士は、依頼主が納得する額を相手から引き出すまで、粘り強く交渉しますが、中にはできるだけ早く終わらせようとして、過払い金の回収よりも、早期和解を勧める場合もあるのです。
「それが相場だ」と法の専門家に言われてしまうと、何も知らない素人は額面通りに受け取り、早期和解に同意してしまいます。
そして、後で「過払い金をもっと回収できるはずだった」と、後悔することにつながるのです。

・高額な過払い金の報酬金を請求された

法律事務所や司法書士に依頼する際、依頼主は報酬金を支払います。
この報酬金は一律ではなく、交渉がうまくいったときに過払い金額に応じて変動します。
報酬金の設定は、各事務所によって異なり、中には相場よりも高額な報酬金を請求してくる事務所もありますので、注意が必要です。

・説明にはなかった費用を請求される

契約後に手数料と称して費用を請求してくるケースも少なくありません。
通常は、ホームページなどに表示されている費用を請求されるため、疑問に思うことはそうありませんが、中には、あれこれ理由を付けて費用を上乗せしてくる事務所もあります。
「費用の意味はわからないけれど、弁護士が言うのなら」と支払ってしまうケースも少なくありません。

・進めている手続きの内容について詳しく教えてくれない

債務整理を依頼すると、その後の作業は、弁護士が請け負います。
そのため、連絡を取ってから時間が経つと、どの程度進んでいるかが気になってきます。
良い弁護士であれば、進捗状況を説明してくれますが、そうでない場合は、言葉を濁すなど、あまり具体的には教えてくれません。
進捗状況を確認せずに弁護士事務所に任せっきりにしたために、期待していた成果が得られなかった、というケースも少なくないのです。

■債務整理のトラブルを避けるには

債務整理のトラブルを避けるには、何が得策でしょうか。
最大のポイントは、事務所選びです。
事務所を選ぶ際のポイントについて、いくつかご紹介します。

・債務整理に強みを持つ弁護士事務所を選ぶ

弁護士は、幅広い分野の弁護をカバーしています。
そのため、一人の弁護士または法律事務所が、すべての分野でオールマイティに優れているということは不可能に等しく、ほとんどの場合は、得意分野を持っています。
依頼するなら、その道に精通した弁護士のいる事務所を選びましょう。
多くの弁護士事務所では、これまでの実績や強みなどをホームページ上に公開しています。
事前にこうした情報をチェックし、十分な経験と専門知識を持つところを選ぶことが大切です。

・話しやすい弁護士を選ぶ

期待通りの結果が得られないという一つの要因として、依頼先と依頼主とのコミュニケーション不足が挙げられます。
債務整理について十分に説明を受けられなかったり、意思の疎通が不足したりしていると誤解が生じ、後のトラブルに発展しがちです。
評判のある弁護士でも威圧的で、こちらが萎縮してしまい、自分の言いたいことが言えなかったり、話をあまり聞いてくれなかったりする場合は、思うような結果を出すことが難しくなります。
ほとんどの法律事務所では、初回無料相談や無料診断を実施していますので、そうしたサービスを利用して、自分に合った弁護士を選ぶようにしましょう。

・無料相談をキャンセルしたときのことも確認しておく

無料相談のつもりで話を進めていたのに、気が付いたら契約させられていた、というトラブルも少なくありません。
その場合は、無料相談を受ける前に、契約しなくても相談に乗ってくれるかどうか、途中でキャンセルした場合はどうなるかなどについて、事前に確認することをおすすめします。

・契約前には複数の法律事務所に相談する

債務整理について契約するのは、一つの法律事務所でなければなりませんが、契約前の事前相談は、複数の弁護士事務所を利用できます。
複数の法律事務所に事前相談を持ちかけることは労力が必要になりますが、過払い金の回収額の相場がわかったり、早期和解を勧められたときに、提示されている金額は妥当かどうかが把握できたりと、メリットも多くあるのです。
さらに、大まかな費用を比較検討することで、より自分の条件に合ったところを選ぶことも可能になります。
無料診断や無料相談を利用して、できるだけ複数の事務所を利用してみましょう。

・報酬金を妥当な額に設定しているところを選ぶ

素人の場合、報酬金の相場は把握しにくく、事務所に言われるまま支払う場合も少なくありません。
過払い金を回収した際に生じる報酬金は、過払い金の回収額の20%が相場と言われています。
それ以上の報酬金を請求してくる事務所は、後々トラブルに発展しやすいので、避けるのが無難です。

■債務整理でトラブルに巻き込まれたときの対処法

債務整理のトラブルを避けるため、良心的な事務所を慎重に選んでも、100%トラブルを避けられるという保証はありません。
トラブルに巻き込まれてしまった場合の対処法について、いくつかご紹介します。

・信頼を築けない場合は、契約を打ち切る

たとえば、毎回担当者が代わり、そのたびに手続きについての説明が異なると、その法律事務所に信頼を置くことが難しくなります。
過払い金を回収するために、このまま続けていても信頼することが難しいと感じたら、契約を打ち切り、ほかの法律事務所を探すのが無難です。

・早期和解に納得できない場合は、ほかの法律事務所を検討する

過払い金の回収を依頼しているのに、弁護士が早期和解を熱心に勧めてくる場合、なぜ早期和解の選択が無難なのかを、弁護士に聞いてみましょう。
説明が曖昧だったり、回答を避けたりする場合は、依頼主にとって、その依頼がデメリットである可能性が高くなります。
少しでも不信感を覚えたら、すぐに返事をせず、ほかの事務所に相談してみましょう。
契約ではなく、事前の相談であれば、ほかの事務所を利用しても問題ありません。

・意味のわからない費用は納得するまで支払わない

素人にとって、法律的な名目の費用は、理解しにくいかもしれません。
しかし、難しいからといって確認をしないで支払ってしまうと、無駄にお金を使うことになります。
契約時に確認した費用は支払う必要がありますが、後付された費用について理解できない場合は、依頼先に説明を求めるのが賢明です。
その説明に納得し、支払う必要があると判断してから、支払います。

■トラブルには気を付けましょう

債務整理で生じやすいトラブルの事例や予防方法、さらに問題に巻き込まれたときの対処法について、ご紹介しました。
債務整理は複雑で、多大な労力と時間がかかります。
解決するまでストレスになりやすいため、「早めに終わらせたい」と思うかもしれませんが、早期解決に同意したり、悪徳事務所に依頼してしまったりするリスクが高まりますので、慎重に行動することがポイントです。
良い法律事務所を選べば、費用面で心配する必要がなくなり、依頼主に代わって手続きをスムーズに進めてくれます。
紹介した弁護士事務所の選び方を参考にして良い事務所を選び、過払い金回収を目指しましょう。

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