コラム

もし裁判員に選ばれたら?実は知らない裁判員制度

■裁判員制度とは

平成21年5月21日に始まった制度であり、刑事事件ごとに一般市民の有権者6人が選出され、裁判官3人とともに有罪無罪の判決と、具体的刑を下すのかを取り決める制度です。
国民にも司法の理解を深められ、国民の意見や感覚を裁判の結果に反映し、参加することで、より裁判を身近に感じてもらうことによって、刑事裁判に対する国民の司法に対する信頼を高めていくことを目的に、この裁判員制度は導入されることになりました。
国民が裁判へ参加する制度を持っている国は、日本のほかにもアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどがあります。
裁判が行われる法廷では、裁判官3人(うち1人は真ん中に入る裁判長)の左右に裁判員がそれぞれ3人ずつ席に着きます。
裁判官と同様、処罰まで決める立場です。
被告人の人生を左右するものですから、非常に大きな責任を担うことになります。

 

■裁判員制度で裁く刑事事件

裁判員制度で対象となっているのは、一定の重大な犯罪による刑事事件のみが対象になります。
殺人、強盗致死傷、傷害致死、危険運転致死、現住建造物等放火、身代金目的誘拐、保護責任者遺棄致死、強制わいせつ致死傷、覚せい剤取締法違反などが挙げられます。
全ての刑事事件が対象になっているわけではなく、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条をもとに定められた犯罪のみです。
また、地方裁判所で行われる上記の刑事事件のみが対象で、刑事裁判の控訴審や上告審、民事事件、少年裁判などは対象となっていません。

 

■裁判員はどのように選ばれるのか

裁判員は、20歳以上の有権者(衆議院議員の選挙名簿に登録されている人)の中から、地方裁判所ごとに管内の市町村の選挙管理委員会が引くくじによって無作為に選ばれた人を「裁判員候補者名簿」に掲載します。
裁判員候補者名簿は、前年の秋ごろから作成され、その年の11月頃には名簿記載通知と調査票が送付されます。
調査票は、自衛官や警察官など就職禁止事由や、重い疾病に罹患しているかなど客観的な辞退事由に該当しているかどうかを尋ねるための書類です。
ここで調査票に裁判員になることができない方や辞退事由が年間を通して認められる方は裁判員に呼ばれません。
その後、事件ごとに名簿の中からくじで候補者が選ばれ、一つの刑事事件につき6名が選出されることになります。
通常裁判の行われる6週間前までに、事件ごとに選任された候補者へ質問票と選任手続き期日のお知らせ(呼出状)が送付されます。
ただ、通常よりも長い事件の場合は8週間程度前までに送られることもあります。
裁判日数が5日以内の事件であれば、1事件あたり70名程度の裁判員候補者にお知らせが届く仕組みです。
その後、質問票を候補者が返送して辞退が認められる場合は呼び出しが取り消されて、裁判所へ行く必要はなくなります。
辞退しない場合や、質問票の記載から辞退が認められなかった候補者は全員、選任手続き期日の日に裁判所へ出向きます。
そして、裁判長が不公平な裁判をする人物ではないかどうか、辞退希望の有無や理由などについて質問をして不選任を決めていきます。
その後、最終的に事件ごとに裁判員6名と状況により補充裁判員が選ばれる流れで決定します。

 

■裁判員を辞退できるのはどんな人か

基本的には裁判員を辞退することは不可能です。
しかし、刑事裁判に関する法律第16条に該当するケースでは、辞退を申し立てることが可能です。
①年齢が70歳以上の男女
②地方公共団体の議員(会期中)
③学生
④5年以内に裁判員または補充裁判員を務めた方
⑤3年以内に選任予定裁判員だった方
⑥1年以内に裁判員候補者として選任手続きに出頭した方
⑦5年以内に検察審査員だった方
⑧重い疾病などで裁判所に出頭することが困難な方
⑨同居している親族の介護や子どもの養育をしている方
⑩父母の葬式への出席
⑪災害などの被害で生活の再建が必要な方
⑫従事する事業に置いて重要な用務がある場合
などが挙げられます。
このほか前述のように警察官や自衛官、都道府県知事、市町村長などや国の行政機関の職員、国会議員なども裁判員の職務に就くことはできませんし、義務教育を終了しない方や禁固以上の刑に処せられた人も裁判員になれません。

 

■裁判当日はどのようなことを行う?

裁判当日は、刑事裁判の審理に出席し、被告人や検察官の話を聞いたり、証拠を見たりなどします。
その後、審理で確認した内容をもとにして、裁判官や裁判員と議論し、有罪か無罪どちらにするのか、そして有罪の場合の処罰決定など判決内容を評議によって決めることになります。
その後、判決内容を裁判長が被告人に伝えることで終了です。

 

■裁判員制度で支払われる日当

日当の具体的な金額は、選任手続きや審理や評議の時間に応じてその都度変わります。
裁判員の参加する刑事裁判に関する規律7条に基づき、裁判員候補者や選任予定裁判員については、1日あたり8,000円以内で、裁判員、補充裁判員は1日あたり1万円以内で決定されます。
また、管轄となっている裁判所が家から近い人もいれば遠方の方もいらっしゃいます。
この場合に宿泊が必要となる場合は、宿泊費が支払われる仕組みです。
宿泊費は地域によって7,800円または8,700円と決められています。

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