コラム

個人の債務整理とは?任意整理・個人再生・自己破産の違いを解説

■債務整理も考えましょう

お金の借り入れをしていて順調に返済していた方も、急に職を失ってしまうことや何かしらのアクシデントがあって返済が難しくなることもあるでしょう。
取り立ての電話に精神がまいってしまう前に、債務整理をすることも考えてみましょう。
個人で行う債務整理の中には、任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。
こちらではそれぞれの特徴、メリットやデメリット、手続きの流れを紹介します。

■任意整理とはどういったもの?

銀行や消費者金融から借り入れをする際に、一昔前のグレーゾーンと呼ばれる金利の頃から借り入れしている方もいるかもしれません。
任意整理では、取引を開始した時を見て、利息制限法の上限金利に金利に引き下げて再計算をします。
グレーゾーンの頃は29%前後の金利でしたので、ここから利息制限法の上限の15%から20%の金利に引き下げてまずは計算し直します。
そこから金利をカットして元本のみを分割で返済する方法で、年数としては基本は3年、特別な事情があれば5年にかけて返済を続けていくものが任意整理です。
任意整理は自己破産や民事再生よりもデメリットは少なく、これまでよりも返済する額よりも減額ができるため楽になります。
さらに3年から5年と、完済するゴールも見えやすくなるのも特徴です。

■任意整理のメリットとデメリット

まずは任意整理のメリットとして取引していた頃にグレーゾーンの金利の頃があると、利息制限法の上限金利に引き下げて計算してくれますので、返済時に支払いすぎていた金額が過払い金として発生します。
30年前や40年前から借り入れをしていてずっと返済をしている場合、このグレーゾーンの金利だけでも結構な過払い金が戻ってくるケースもあります。
借金に充当すると、ほとんど返済額が残らないかもしくは返済に充ててもさらにお金が残る場合もあるのです。
そうすればお金を任意整理で分割して返す必要もなくなり、借金の生活から解放されます。
債務整理の一つの手段でありながら、自己破産や個人再生と違い裁判所を通さないため官報に名前や住所が載ることもありません。
自分から誰かに言わなければ任意整理していることもわかりにくいですし、利息がカットされ元金のみを返済するので毎月が楽になります。
逆にデメリットはいわゆるブラックリストに掲載されてしまいますので、クレジットカードやローンを利用できなくなってしまうことです。
しかしクレジットカードやローンを利用する癖がついてしまっているからこそ、借金に借金を重ねてしまうという場合もあります。
逆にデメリットには感じてしまいますが、使えなくなったほうが手元の現金でやり繰りしようと思うので金銭感覚も正常になりやすいです。
約5年間は信用情報機関に記録が残りますが、この後は名前がなくなります。
信用情報機関に名前が載っている間は、住宅ローンやキャッシングなど難しくなります。

■任意整理の手続きの流れ

まずは相談をするところから始まるのですが、弁護士を選びどのくらい債務があるのかなどを話します。
初回の相談に関しては無料になっている弁護士事務所も多いので、債務整理に強いところがおすすめです。
債務の状況のほかに、お給料を毎月どのくらい貰っていて支出はいくらあるのか、どこの貸金業者で借り入れしているかなど聞かれます。
そして任意整理が可能かをジャッジし、次の段階へと進みます。
依頼を正式に決めたら委任契約を行い、着手金の支払いをして本格的な手続きへと移っていく流れです。
ここからは弁護士が債権者に対して受任通知の送付や取引履歴の開示を行うので、依頼者は何も債権者に対して働きかけることはありません。
弁護士の受任通知をもって債権者からも直接の取り立てができなくなり、取引は弁護士と債権者同士で今後を決めていきます。
その間返済がなくなったわけではないので、弁済原資金の積み立てを開始して、将来支払う毎月の返済額が決まったところで弁護士費用や弁済の頭金にします。
話し合いの結果、和解案が決まったところで、和解書を取り交わしそれに基づく返済という流れです。

■個人再生とはどんなものなのか?

持ち家の住宅がある場合、債務整理をすることで取られてしまうのは怖いと思っている方もいるでしょう。
個人再生をすると、住宅などの財産は維持したまま大幅に借金が減額されます。
借金の金額が持っている財産によっても減額の仕方は変わってきますが、原則としこちらも3年で分割返済ができます。
自己破産のようにすべての借金がなくなるわけではないのですが、せっかく購入して毎月支払っていた住宅などは取っておけるので持ち家を持っている方も安心です。
さらに資格制限などもないので、特定の業種に就けないということもありません。
手続きにかかる期間は、約6ヶ月かかる場合がほとんどです。

■個人再生のメリットとデメリット

まず個人再生をした時のメリットとしては、債務が原則1/5になりますので、毎月返済する際に楽になります。
カチカチだった家計費などにも、余裕が出てくるようになるでしょう。
さらに持ち家などの住宅もそのまま残せますし、車も手放す必要がありません。
普段と同じように生活ができますし、手続きを開始することで債権者は強制執行ができなくなり安心です。
自己破産の場合、ギャンブルなどの認められていない理由もありますが、個人再生に関してはこの理由だと免責不許可事由というものに該当しないので利用できます。
デメリットとしては、借り入れが今後約5年から10年はできなくなってしまいます。
信用機関の情報に個人再生したということがわかるように載ってしまうため、この期間は車を新しくしてローンを組みたいと思っても難しいです。
どんなに個人再生をしたいと思っても、毎月返済できる能力がある収入がない方もできません。
自己破産の場合は収入が関係ないので、個人再生が難しい場合は自己破産も視野に入れなければなりません。
個人再生をしてしまうと、住所と氏名が官報というものに掲載されてしまうため、官報を日ごろから読んでいる方には知られてしまう可能性があります。

■個人再生の手続きの流れ

まずは弁護士に、個人再生をしたいという相談をしなければなりません。
個人再生が可能だとわかると、今度は弁護士のほうから債権者に対して受託通知及び債権調査へのご協力のお願いを発送します。
これを送ることで債権者への取り立てがストップし、債務者に直接取り立ての電話がいくこともなくなります。
今度は個人再生の申し立てに必要な書類を準備し、それをもとに司法書士が申し立てを作成、その後地方裁判所へ提出という流れです。
個人再生を行う際には返済する額が発生しますので、開始になる前から一定額の積み立てを行います。
家庭収支表やここで積み立てたお金の通帳も大切で、再生計画認可の可否に関わってきますのでしっかりと行いましょう。
裁判所に提出をし再生計画認可の決定が決まったら、毎月決められた返済額を口座に振り込み返済をしていきます。

■自己破産とはどんなものか?

自己破産は、申し立てをして免責認可が下りると、今までの借金はすべてなくなります。
任意整理や個人再生のように、3年間の中で分割して支払うお金はないので、今毎月のように安定した給料が入ってこない方でも受けられる手続きです。
養育費や税金を滞納している場合は非免責債権と言い、この中に含まれませんが、ほとんどのものが免責になりますのでほぼ0円になります。
ただ自己破産できる方は、今の収入や資産などを見て総合的に判断した時に任意整理なども難しく債務を完済することが難しいと判断された時に適用になります。
債務の金額はいくら以上というボーダーラインはなく、債務者の収入や資産とのバランスを見て決められるのです。
逆に任意整理をしたいと考えていても収入が少ないと無理だと思われて、自己破産を進められることもあります。

■自己破産のメリットとデメリット

自己破産をするメリットとしては、すべての債務の支払いがほぼ免除されますので、この後に毎月いくらかずつ返済するということがありません。
ですので、その分家計費で浮いた分は貯金に回すことができ、生活を正常に戻してやり直すことができます。
手続きを開始すれば取り立ての電話などなくなりますし、ある程度大きい金額の財産でなければ手元に残すことができます。
たとえば日常生活で使用する洗濯機や冷蔵庫、電子レンジなども1台目は差し押さえ禁止にもなっていますので、自己破産をした後も通常通り使えるのです。
ただローンを支払っている場合は引き上げ可能ですので取られてしまう可能性もあります。
ほかにも99万円以下の現金や、破産管財人によって放棄された財産に関しても手元に残すことができます。
逆にデメリットになることは、新しくクレジットカードを作りたいと思っても10年は厳しくなることです。
信用情報機関に記録されていますので、住宅ローンも厳しくなります。
職業にも制限されるものがありますし、官報に名前が載ってしまうこと、大きい価値のある住宅や車などの財産は処分されるのもデメリットです。

■自己破産の手続きの流れ

まずは自己破産の場合でも、弁護士に相談をして今の状況を伝えることとなります。
この後に債権者に対して受託通知及び債権調査へのご協力のお願いを発送するのですが、これと同時に催促や取り立てもストップします。
必要な各種書類を準備して司法書士に自己破産の申し立てを作成してもらい、地方裁判所に提出という流れです。
無事に免責が確定すると、借金の返済義務もなくなり今後はお給料から何かの借金に充てる生活から脱却できます。

■まずは自分の状況を考えながら選びましょう

毎月お金の返済はありますが、まずは任意整理を希望しどうしても収入などを見た時にダメだとなったら個人再生や自己破産を選ぶようにしましょう。
それぞれん債務整理にはメリットとデメリットがありますので、そこも踏まえながらどうしていくのか考えていくとベストです。
最後に、債務整理をしたから人生がそこで終わりではありません。
借金に苦しむ人を助けてくれる制度ですので、まずは思いつめずに相談から始めましょう。

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