コラム

外国人従業員の在留資格はどうなる?新型コロナウィルスの影響による特例

■外国人技能実習生を雇用している事業主とコロナの影響

少子化で労働者不足が深刻化している日本では、業種を問わず、外国人技能実習生の活躍が事業を支える強力なサポーターとなっています。
ですが、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、外国人実習生が入国できなくなり、農家や工場で人材が確保できず、悩む事業主も少なくありません。
一方、外国人技能実習生としての在留ビザが切れたのに、コロナの影響で帰国ができなくなるケースも増えています。
こうした場合に事業主はどのようなケアを行っていけば良いのでしょうか。

 

■外国人技能実習生の国内雇用継続の特例措置

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により解雇され、実習の継続が困難となった外国人技能実習生や特定技能外国人などについて、最大1年間にわたって就労も可能となる特定活動の在留資格が許可されることが法務省より発表されました。
特定活動の在留資格の付与については、業種の転職も可能です。
たとえば、これまでは工場で技能実習をしていたものの、解雇された外国人材を農業分野で雇用することもできるようになります。
なお、特定活動の在留資格が付与されるためには報酬額が日本人の報酬額と同等以上でなければなりません。
コロナの影響で売上が激減していからといって、安く外国人材を雇うとすることは認められないので注意しましょう。
なお、他産業からの従事者を雇用する場合の掛かり増し労賃として、農業分野では農林水産省がコロナ対策としてスタートさせた農業労働力確保等緊急支援事業を利用することも可能です。

 

■新型コロナウイルス感染症拡大の影響による農業労働力の確保等のための支援措置

外国人技能実習生を利用する割合が多い農家を支援すべく、農林水産省では農業労働力確保等緊急支援事業をスタートさせました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で予定していた技能実習生などの受け入れや特定技能外国人の雇用ができなくなったなど、人材不足で困っている農家に対し、人材を確保するために必要な交通費や借上げアパートなどの宿泊費、代替人材を雇用するための掛かり増し労賃や雇用主が負担する労働保険料などの助成を行ってくれるという事業です。

 

■こうしたケースはどうする?

事業主によって外国人技能実習生との間で抱えている問題や悩みはさまざまです。
ここからは、新型コロナウイルスの感染拡大により、増えているケースについてどう対処すべきか見ていきましょう。

 

・一時帰国した後に再入国ができず、実習の再開を遅らせたい場合

まず、技能実習実施困難時届出書を提出しましょう。
一時的な中断の開始日を届け出て、再入国が可能となった後に技能実習計画軽微変更届出書を提出して再開時期を明示します。
これによって、コロナ感染の影響が去った後で技能実習を再開することが可能です。
なお、一時的な中断により実習に伴う在留期間を延長する必要がある場合は提出した技能実習実施困難時届出書と技能実習計画軽微変更届出書の写しを添付して、中断期間を明らかにしたうえで、地方出入国在留管理官署に在留期間の更新許可申請が必要です。

 

・入国が当初の予定より遅れそうな場合

技能実習計画の認定を受けており、認定を受けた計画の技能実習期間と入国日との間が3ヶ月以上空いていなければ、特段の手続きは必要ありません。
3ヶ月以上空いてしまう場合は、技能実習計画軽微変更届出書を提出してください。
なお、在留資格認定証明書の有効期間は通常3ヶ月間であるところ、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、2019年10月1日から2021年1月29日までに作成された在留資格認定証明書については、入国制限措置が解除された日から6ヶ月または2021年4月30日までのいずれかの早い日までが有効期間とみなされる特例としてが出されています。
詳しいことは地方出入国在留管理官署で確認しましょう。

 

・技能実習を終了したのに新型コロナウイルス感染症の影響で帰国できない場合

帰国便が飛んでいない、母国でロックダウンがなされているなど帰国や帰宅が困難な技能実習生について、滞在費などを賄うために就労をしたい場合、就労も可能な特定活動6ヶ月間への在留資格変更が認められます。
また、帰国できる環境が整うまで一時的な滞在をしたい場合には就労はできませんが、特定活動として6ヶ月間の在留資格変更が認められるのです。
6ヶ月の就労できる特定活動への変更が認められるためには、従前の実習実施者か、新たな受け入れ機関と外国人技能実習生の契約において、実習内容と同種の業務に従前と同等額以上の報酬で従事させることを約束しなくてはなりません。
また、申請にあたっては帰国が困難であることに合理的な理由があることを明確にする資料を添付するとともに、理由書などを準備することも必要です。
詳しくは、技能実習生の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に確認しましょう。
なお、職業安定法に基づく職業紹介事業の許可を受けずに技能実習を終了した外国人技能実習生を、新たな受け入れ機関で雇用契約が結べるようあっせんした場合、職業安定法違反に問われるおそれがあるので注意しましょう。

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