コラム

民事裁判で「判決」を出す際の期間・手順・費用を徹底解説!

■ 最初の裁判が一審

民事裁判の第一審では、まずは最初の数回の期日で、書証や主調書面を提出し、主調内容や証拠書類を揃えます。
書類が出揃ったところで、証人尋問や当事者尋問によって、法廷における証人や当事者の発言内容を記録します。
発言記録が出揃うと、いよいよ最終的な意見主張となる弁論終結に入るわけですが、通常は、その前に裁判所のほうで和解を促すことが多いです。
これは、裁判所による強制的な判断を下すよりも、当事者間での自主的な解決のほうが決定内容の履行状況もよくなり、当事者間の関係性もこじれずに済むため、優れた方法だと考えられているからです。
この際、裁判所は、おおまかな意見を心証開示として告げておき、結論を示唆することによって、ある程度妥当な和解調書が作成されるように促します。
さて、和解のプロセスに当事者が合意しなかった場合は、両者ともに最終弁論を述べ、指定された期日に、一審判決を裁判所では出さなければいけません。
その内容はあとで郵送によって、代理人弁護士の在籍する法律事務所などの指定された住所宛に通知されます。
また、当日の法廷では全文ではなく主文しか読まれないため、当日は代理人弁護士のみが出席し、当事者本人は出席しないことが通例です。

 

■ 第一審から控訴をすると控訴審へ

第一審の結果に不満がある場合は、被告側も原告側も、控訴を行うことができます。
控訴は、判決を受け取った日から2週間以内に、控訴状を提出することによって行われます。
控訴状では、事件番号などの必須項目に加え、控訴の範囲も明記し、不服がある部分、すなわち控訴審での争点にしたい部分も明記するのが通例です。
控訴をした場合、控訴内容の詳細を控訴理由書として、控訴日の翌日から50日以内の間に提出する必要があります。
控訴理由書では、控訴状に書いた不服部分の内容について、具体的な論拠を詳しく記載します。
控訴理由書の提出期限より前に、裁判所の担当部署から、弁護士宛に第一回公判期日を通知する照会書が配布される場合も多いですが、この場合、控訴理由書の提出期限もそこに明記されることとなり、控訴した側は、その期日までに控訴理由書を提出しなければいけません。
控訴された側は、控訴理由書の内容と公判期日に関する照会書を受け取り、提出された控訴理由書に反論する控訴答弁書を、通常は期日前の指定された期限までに提出します。
控訴審では、通常はこの2つの書類や提出された証拠の内容について第一回公判期日に確認して、新しい主張がなければそのまま弁論終結され、判断が下されます。
場合によっては、ここでも和解が促されることもありますが、いずれにせよ、第一審に比べて審理が短いことが大きな特徴です。

 

■ 控訴審でも不服なら上告審

控訴審の結果も不服である場合は、上告を行うことができます。
ただし、最高裁判所は、特に民事裁判については自らを法律審として扱う傾向があり、ほとんどの場合、控訴審までで認定された事実を覆すことはありません。
このため、事実そのものではなく、判断内容の理由付けの食い違いや法令・判例違反の可能性に訴えるのが通常のアプローチとなります。
ここで提出できる書類は、上告書または上告受理申立書で、期限はやはり控訴審の判決を受け取ってから2週間以内となります。
これらの書類が提出されたら、その旨の通知書が届きますので、その内容に基づき、理由書の提出を指定された期日内に行わなければいけません。
理由書の内容は、控訴理由書同様手続きが必要な論拠となりますが、注意しなければいけないのは、これらの書類の提出先が、控訴審を行った裁判所であることです。
提出期限は最高裁必着であり、また郵送か直接提出しか受け付けていないため、控訴審が最高裁から離れている場合は、実質的な期限は何日か前倒しになります。
ほとんどのケースでは、1年以内に棄却または不受理となって終了するため、実質的な勝負は高等裁判所までだと思っておいたほうがよいでしょう。
ただし、運よく審議が始められることとなった場合は、多くは口頭弁論も開かれ、控訴審で出された結論が覆る確率が大きく高まります。
このため、上告された側は、請求の認諾または放棄によって、判決を回避しようとすることもあります。
これがされた場合、法的には最終判断は出されずに決着せざるを得ません。
そのようなことがなされなかった場合、口頭弁論が行われますが、その内容は書面にまとめられ、事前に調査官によって調整されるため、当日の発言は短い時間で終わることが多く、あくまで形式的なプロセスになりがちなのが特徴です。
これらすべてを経て、最終的な確定判決が下されることとなります。

 

■ 期間や費用など

最高裁まで戦う場合の期間や費用は、通常は第一審の期間ほど長くはならない傾向があります。
第一審では書面上での反論や再反論を、ある程度主張が出揃うまでほぼ1ヶ月おきに繰り返し、そのうえで尋問などを行うため、数ヶ月かかるのは当たり前で、1年以上の期間が経過するケースも多いです。
それに対し、先に見たように、控訴審では手続きが簡略化されていることが多く、最高裁はほとんどのケースで棄却または不受理にするからです。
控訴審の場合は、期間は控訴から理由書提出までの50日間に加え、第一回公判から結論が出るまでの期間を足しても、約2~3ヶ月で終わります。
また、最高裁の判断が出るまでには、9割以上のケースで半年もかからないため、長くとも1年以内にはほぼ終わると考えて間違いないでしょう。
ただ、極稀に理由がわからないまま長く判断が出されずに寝かされる場合もあるので、その場合は棄却や不受理の結論であっても、口頭弁論を行う場合であっても、結論が出るまでに数年間かかることもあるので、注意が必要です。
いずれにしても、必要経費も、訴訟費用や各審における弁護士の着手金や成功報酬は結果次第で一定額かかります。
一般的には、着手金は数十万円程度、訴訟費用は請求額次第ですが、おおよそ数万円程度です。
成功報酬は、多くの場合、提訴の際の請求額を基準に、一定割合という形で決定されるため、大規模な訴訟であればあるほど高くなるでしょう。
反面、出廷日数が少ないため、弁護士への日当として払うべき費用がだいぶ減ります。
そのため、一般論としては、最も費用がかかり、その分だけ準備が必要なのは第一審だと考えられます。

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