コラム

企業がメンタルヘルスケアに取り組むべき理由

2020/07/13 企業法務労働問題

■企業に求められるメンタルヘルスケア

現代社会においては、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。
高度成長期にがむしゃらに働いていた時代から、男女雇用機会均等法で女性の社会進出が進んだ時代を経て、オーバーワークによる過労死問題やブラック企業問題が取りざたされ、今の時代は働き方改革や子育て支援が求められる時代です。
時代の変化や時代の要請の変化で、企業に求められることが変化し、高度化する中で避けては通れないのがメンタルヘルスケアへの取り組みです。

 

■企業がメンタルヘルスケアに取り組むべき背景と理由

ビジネスがグローバル化し、ITなどの情報化が進み、消費者や取引先から求められるニーズも多様化・高度化する中、企業の競争はいっそう激しくなり、従業員に求めることも必然的に高度化しています。
少子高齢化が加速し、人材不足があらゆる業種や職場で問題になる中、1人の従業員に対する負担は増大する一方です。
企業から求められることやプレッシャーが従業員へ重くのしかかり、責任感が強い人や自己主張が苦手な人ほど仕事を抱え込み、精神的にも肉体的にもストレスや疲労を溜めがちになっています。
その結果として過労死や精神的に追い詰められての自殺、うつ病などの精神疾患に陥り、会社を辞める人や休職する人も増えてきました。
かつてなら職場内での問題で済まされていたことも、今の時代は瞬く間に広まってしまいます。
SNSなどで誰もが情報配信をできますし、肉体的、精神的に追い詰められて過労死や自殺が生じれば、家族も黙ってはいません。
ひとたび問題が起これば、どんなに有名な企業や人気の企業であっても、ブラック企業のレッテルを張られ、消費者や取引先からの信頼も失い、入社を希望する人も減る事態に陥ります。
不買運動などによる利益の減少も企業にとっては打撃ですが、一番の問題は人材の確保が難しい人手不足の時代に就職希望者が減ったり、離職者が増えたり、病んで休職する人が増えることです。
人手が足りなくなれば、企業の経営にも大きく影響を及ぼすのはもちろん、残された人材に更なる業務負担がのしかかり、オーバーワークとなっての過労死や自殺、病んで休職や離職者が出るなど悪循環に陥りかねません。
こうした事態を防ぎ、必要な人材を確保して、健全で安定的な企業成長を遂げていくためにも、企業はメンタルヘルスケアに取り組まねばならないのです。

 

■どのような取り組みをすべきか

メンタルヘルスケアに求められることは、精神的なストレスやプレッシャーを抱え込まないような環境づくりと不調を来した方が出た場合のサポート体制の構築です。
未然の予防策とアフターフォロー体制の両輪を構築しなくてはなりません。
メンタルヘルスケアというと相談窓口を設け、精神科医や心理カウンセラーなどの専門家のサポートを提供すれば良いと単純に思われがちです。
専門的な取り組みも大切ですが、それ以前に行わなくてはならないことがあります。
それは、そもそもメンタルヘルスを病むことがないようにする職場環境や仕事のやり方の見直しを図ること、そして、メンタルヘルスやそのケアに対する全社的な理解を深めることです。

 

■業務体制や職場環境の見直しを

まずは労務部門や各部署が率先して、現在の業務のやり方を洗い出し、環境整備を行っていきましょう。
店舗運営において問題になりましたが、いわゆる“ワンオペ”になっていないか、営業職に過度なノルマをかしていないか、1人に過度な負担をかしていないかなどチェックしていきましょう。
全従業員の労働時間や出勤状況を明確にし、過度な残業や代休の取れない休日出勤などが生じていないかをチェックします。
過度なプレッシャーを与えるパワハラや精神的なストレスになりやすいセクハラなどが生じていないか、秘密厳守を徹底したうえでヒアリング調査なども実施しましょう。社外の弁護士事務所などを専用窓口にするのもおすすめです。

 

■全体の理解を深めよう

メンタルヘルスケアの重要性が叫ばれる時代でも、一人ひとりの理解や認識はさまざまです。
特に経営者層や管理職クラスの人はがむしゃらに働くのが当たり前と考える人もいます。
メンタルヘルスケアの重要性を、外部講師などを招いて、全従業員および全役員を対象に研修を実施しましょう。
精神的に追い詰めない働き方の認識や万が一メンタルヘルスに支障を来した人が出た場合のその方への接し方やフォローの仕方について理解を浸透させていきましょう。

 

■専門の窓口やフォロー体制を整えよう

職場内では相談できずにいる人が、早い段階でSOSの声があげられるよう、産業医などによる相談窓口や心理カウンセラーなどによる外部の専門家への相談窓口などを用意しましょう。
メンタルヘルスを病んでしまった人が出た場合に無理強いをすることなく、安心して休職できる体制や治療を支援する体制づくり、改善した際に安心して職場復帰できる体制を労務部門、法務部門、現場が一丸となって構築していくことも大切です。

 

■人間関係を改善しコミュニケーションを円滑にする

企業がメンタルヘルスケアを改善するに当たり、まず行いたいのが人間関係を改善しコミュニケーションを円滑にすることです。
これは主に、人間関係を改善し、さまざまな点で理解を深めることやより人と人とのつながりを強めることで、社内の雰囲気を良くして働きやすい会社にする必要があります。
たとえば社内イベントで社内の人員がどういう人がいるかを知ったり、あえて全く関係のない部署同士のつながりを持たせたりなど、会社に対する満足度や仕事に対する満足度の向上、新しい人間関係の提供などもできるでしょう。
新卒の人に対してメンターを付ける企業も今はありますが、メンターとして働くことで若い世代の感覚や知識を知ることなどもできるかもしれません。
一方で、若い世代への定着率も高まり、従業員の若返りを促します。
その一方で、ハラスメントをしている人間に対しては内情をよく聞いて改善を求めるなど、問題のある人間への処罰や対応も必要になります。
少なくとも、問題のある人間をそのままにしておくのはおすすめできません。
人間関係の改善は容易なことではありませんが、工夫することによってじわじわと改善が見えてきて、働きやすい環境が産まれてきます。

 

■長時間労働をさせない取り組み

長時間労働をさせないような仕組み作りも、メンタルヘルスケアや労務上必要になってくる点でしょう。
そもそも労働時間が長いと、従業員のパフォーマンスに悪い影響を及ぼします。
また、従業員としても今は長時間勤務をあまり好む風潮はありませんので、安定して短時間で高いパフォーマンスを出すことや多くの仕事を効率良くこなすことが求められています。
この場合、まずは労働基準法における労働時間の規則についていま一度確認しましょう。
基本的な労働法について、どのような制定がなされているかを見るべきです。
次に、そのうえでどういう点が社内で問題か、特にどういう労働問題が起きているのかを改めて確認したいところです。
また、パソコンスキルの向上やデジタルサービスの活用で作業の短縮化や時に仕事の効率化なども期待できますので、パソコンスキルやデジタルスキルを伸ばす方向を取り入れる企業も少なくありません。
最近では、あえて午後から夜間に働くことを望む人や変則労働制、フレックスタイム制を好む人も出てきました。
もしどうしても労働時間の変化を起こせないのなら、変則的な雇用契約を取り入れるのも方法です。
上手に使えば従業員の労働負荷を軽減することもできますので、詳しくは法務などと相談し、法律面で、あるいはメンタルヘルスケアの部分においてどのような影響があるか、検討してみるのも方法です。

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