コラム

パワハラ防止法の効果はいかに?

■パワハラが起こるようになってできた法律

2020年の6月からパワハラ防止法が施工されました。
現在のところは罰則規定のない法律となっていますが、企業にとっては無視できない問題です。
社会人のパワハラに対する意識は非常に高まっているので、経営陣と社員との間に乖離が発生すると、会社を脅かすようなトラブルになってしまうかもしれません。

■パワハラ防止法について

昨今、社会問題になっているパワーハラスメントですが、そんな状況を是正するためにパワハラ防止法が施工されました。
2020年の6月1日からの施工になっています。
これによって企業はパワハラ防止策を講じる義務が発生することになります。
2017年に厚生労働省が発表した調査結果によれば、従業員の悩みや苦情のトップになったのがパワーハラスメントです。
現在のところ罰則規定は存在せずに企業にパワーハラスメント防止を徹底周知させるために存在しています。
また、厚生労働大臣の判断により、必要が認められた場合は、助言や指導、勧告が行われることになっています。
今後は罰則規定が設けられる可能性もありますので、雇用する側としては注意深く見守っていかなければならない法律と言えるでしょう。

■パワハラ防止法の目的

次にパワハラ防止法の具体的な目的について確認します。
まずは、各企業にパワーハラスメントの対策のや方針の明確化をさせる目的があるのです。
これだけパワーハラスメントが社会問題になっている状況においても、まだまだ具体的にパワハラとは何なのかを知らない人も多いのです。
そのため、各企業の社員にパワーハラスメントはどのような行為が該当するのかを周知させることも重要になります。
また、パワハラ対策の一環として、パワハラを働いた従業員には厳しい処分を下すなどのルールづくりの推進も目的の一つになるでしょう。
さらに、すでにパワハラ相談窓口を設けている企業も多数存在するかとは思われますが、その窓口を知らない社員が大勢存在するのが現状です。
そのため、パワハラ相談窓口を各社員に周知させるというのも目的の一つです。
さらに、相談にきた社員に対して適切な対応ができるような準備も重要になっています。
パワーハラスメントの被害がどんどん増えているのは、パワハラの対応にあたる人物に知識や技術が足りない場合がまだまだ多いからとも言えるでしょう。
パワハラが発生したら速やかに事実関係を把握して、適切な措置を採れるような準備をすることも重要なのです。
こうした人材づくりをするのもパワハラ防止法の目的の一つです。
さらに、パワーハラスメントの問題は、とてもデリケートだと言えるでしょう。
被害者だけではなく、加害者のプライバシーを保護することも重要になってきます。
加害者のプライバシーを考慮しなければ、二次被害が広がる可能性もありますので、こうした問題を周知させることも重要になってくるのです。

■パワハラ防止法の罰則規定について

パワハラ防止法には、現在のところ罰則規定がありません。
しかし、罰則規定がないからといって、無視していると、企業が手痛いダメージを負ってしまう可能性があります。
罰則規定はありませんが、厚生労働大臣が必要だと認めた場合は、助言や指導、勧告などを行えるとあります。
また、勧告されているのにもかかわらずにそれに従わない場合は、その事実を公表できるともありますので、パワーハラスメントに対して理解が乏しい企業と世間からレッテルを貼られてしまう可能性があるのです。
最近の若い世代はパワハラに対して過剰に反応する世代でもありますので、それがきっかけで新入社員の確保失敗するといったことも考えられるのです。
さらに、パワーハラスメントを放置することによって、社員から損害賠償請求をされてしまう可能性もあり、そのような訴訟を起こされた時点で、会社の信頼性は落ちてしまうでしょう。
このようにパワハラ防止法だけではなく、社会問題化するパワーハラスメントをしっかりと見つめたうえで考えてみると、罰則規定がないから放置するという判断は決してできないはずです。

■パワハラ防止法と企業の対策

パワハラ防止法が施工された今、企業がどんな対策を採れば良いかわからないということもあるでしょう。
ここでは、企業がパワハラ防止法を念頭において採るべき対策を紹介します。
パワハラ問題において重要なのが、事実関係の調査です。
パワハラはとてもデリケートな問題なので、本当にパワハラが発生している場合もあれば、単に特定の社員が過剰反応しているだけのこともあります。
そのため、事実関係の調査は慎重に実施する必要があるのです。
そのため、中立の立場から両者の関係を調査できるような専門部署を設けるのも良いでしょう。
パワハラ調査のプロを雇えば、周囲への影響を最小限に抑えたうえで対策をすることができます。
パワハラの調査をしていると社員に知れ渡るだけでも、社員の士気やモチベーションは、一気に落ちてしまうでしょう。
また、弁護士にはパワハラ問題に精通した人物が存在するので、そういった人物に助けを求めるのも良いでしょう。
パワハラ問題に対して専門的な対策ができるような弁護士と連携することができれば、問題が表面化する前に対策が可能です。
会社のルールづくりについてなども的確なアドバイスをしてくれるので、いろいろと助けられることもあるはずです。
さらに、パワハラ問題で重要になってくるのが、経営者自らが発信する行為になります。
経営者の言葉は、その会社のルールそのものなので、経営者自らがしっかりとパワハラ防止を訴えることによって、今までパワハラ防止に乗り気ではなかった社員も考えを改めるものです。
また、経営者が先頭になったパワハラについて学ぶことも重要になります。
こうすることによって古い体質の会社であっても、経営陣がトップに見習うようにパワハラについて学ぶようになってきます。

■パワーハラスメントの実態

まだパワハラがどんな行為なのかということがイマイチピンとこない人も多いので、具体的なパワハラの実態について確認することも重要です。
まずパワハラの定義とは、職場における優位性を利用して、社員に不当な要求を突きつける行為が該当します。
最もわかりやすい例で言えば、上司が部下に無理難題を押しつける行為でしょう。
しかし、業務上必要かつ相当な範囲内のものについてはパワハラに該当しません。
それを逸脱する行為、または労働者の就業環境が害される行為などが満たされることによって、はじめてパワーハラスメントになってくるのです。
具体的な例としては、上司から業務範囲外の仕事を丸投げされるケースなどが該当します。
また、許容量を超えるような仕事を丸投げされるケースも該当します。
都度、サポートなどをしてくれるのであれば問題ありませんが、まったくサポートやケアを受けられないのであれば、パワハラと言える可能性は高いでしょう。
また、最近はテレワークの導入が進んでいます。
そして、このテレワークに関連するパワハラが増えているのも事実です。
テレワークのテレビ会議などでは、大勢の社員が一緒になって会議が進んでいきます。
そして、この場で上司と部下という力関係を利用して、頭ごなしに怒鳴られる行為もパワハラと言えるのです。
また、テレワークの導入によって、プライベートとビジネスの境目が曖昧になることも多くなっています。
業務時間外なのにもかかわらずに、呼び出しに応えるよう繰り返し要求されるといったこともパワーハラスメントに該当してしまうのです。
また、テレワークで会社と自宅の回線がつながっていることをいいことに、上司からの監視体制が強まるのもパワハラと言えるかもしれません。

■パワーハラスメントと感じる行為

現在を生きる会社員がどのような行為に対してパワーハラスメントと感じるかを知ることも重要です。
パワハラは非常に微妙な問題なので、同じ行為でもパワハラと感じる人と感じない人がいるのです。
そのため、今まで大丈夫であっても、いきなりパワハラ認定されてしまうことは十分に考えられます。
だからこそ、どんな行為がパワハラと言われてしまう可能性があるのかを知りましょう。
これは現在あまりありませんが、暴行や傷害など直接的かつ身体的な攻撃は、もちろんパワーハラスメントに該当します。
それどころか傷害罪などに該当してくる可能性もあります。
一般企業で特に多いのが、侮辱や暴言などです。
これらは精神的な攻撃に該当し、人それぞれ感性が違っているので、どんな言葉を暴言や侮辱と捉えるかは難しいところです。
そのため、一般的にはその人が嫌悪感を抱くような言動は慎むようにする必要があるでしょう。
また、隔離したり、仲間外れにしたり、無視をしたりする行為もパワハラです。
特定の集団や組織から特定の人物を切り離したりする行為はパワハラとみなされますので注意しましょう。
さらに、不当な業務を強制する行為、仕事を妨害する行為もパワハラになってしまいます。
自分はそんなつもりはなくとも、相手は業務を邪魔されたと感じることもあるので注意が必要になります。
こちらも難しい問題ですが、能力や経験とかけ離れた仕事を命じることもパワハラになってしまうのです。
たとえば、なんらかの専門職に対して、お茶くみを命じるなどもパワハラになってしまう可能性があります。
これは、一昔前の会社組織では当たり前に横行していた問題なので、知らず知らずのうちにパワハラになってしまうケースが後を絶ちません。
ほかにも、社員のプライベートに踏み込むことやセクハラと捉えられる言動、そのほかのハラスメントに該当する行為など、パワーハラスメントの範囲は非常に広いのです。
コロナハラスメントもパワハラの一種ですが、社会の状況によって、どんどん定義が広がっていくのがパワハラなので、常に注意する必要があるでしょう。

あなたの「不安」を取り除いて、「安心」へ。
まずはお気軽にお問合せください。

お問合せフォームへ

【受付時間:平日午前10時から午後5時30分まで】