コラム

中小企業に顧問弁護士は必要?

中小企業経営者が近年頭を悩ませるのが、顧問弁護士が必要かどうかという問題です。
法的トラブルが増えつつある現代、いざというときに相談できる相手を確保しておきたいと考えるのは当然でしょう。
必要かどうかはどういったポイントで判断すれば良いのでしょうか。

■中小企業にこそ顧問弁護士が必要な時代

「万が一に備えて」「いざというときに」と考えていても、具体的にどのようなことを相談すべきかイメージできないと、必要かどうかなかなか判断できません。
顧問弁護士は企業にとって法務的な予防措置であり、日常の業務や商取引が予定通り進んでいるなら出番がないのは確かです。
ただ事業においては時折、契約された内容とは異なる状況が生じることがあり、予定通り仕事がなされない、計画が進まないというトラブルが起こる場合があります。
当然トラブル解消に向けて動くことになりますが、そこで互いの主張が噛み合わなければ、裁判所へ申し立てを行い、決着をつけなければなりません。
もしくは一般ユーザーから一方的にクレームを受けたり、訴えを起こされたりすることもあるでしょう。
企業がこうした事態で自社を守るためには法的知識が必須ですし、企業の資産を守るためあらゆる手段を講じなければなりません。
大手企業であれば、自社内に法務の専門部隊を用意し、ある程度は対応することも可能でしょう。
ただ中小企業で内部に専門家がいることは稀です。
トラブルはもちろん起こらないに越したことはありませんが、特に中小企業で発生しがちなのが売掛金の債権回収や知的財産関係です。
経済がグローバル化する中、中小企業も諸外国と直接商取引を行う機会も増えており、契約内容の齟齬による問題も急増しています。
トラブルは起こってから対処するだけでなく、何かを締結する前に内容を隅々までよく理解し、未然に防ぐ対策が必要です。
後々大変な事態を引き起こさないためにも、中小企業こそ法務的な予防措置である顧問弁護士を活用し、自社を守る選択をすべきです。

■中小企業が顧問弁護士を付けるメリットとは

中小企業が顧問弁護士に頼ることで得られるメリットは多いです。
以下に期待できる内容を挙げてみましょう。

・債権回収トラブルの対応

中小企業に多い商トラブルが、売掛債権などの回収や資金化です。
債権回収に関してはスピードが命ですが、見誤ると債権者側が多大な痛手を負うことも少なくありません。
弁護士への相談が遅れたことで、債権者側が倒産する可能性すらあります。
この問題は顧問弁護士がいれば必ず解決できるというものではありませんが、もし入金が遅れそうならすぐに相談し、速やかに適切な法的対応を取ることで自社を守れる確率が高くなるのです。
たとえば債権回収するためには催告を行う必要がありますが、内容証明郵便を送る際、記載内容に不備があると後の訴訟で不利な判決を受けるリスクもあります。
専門家に相談したうえでの対応であれば、こうした不備を極限まで避けることができるのがメリットです。
また、回収には催促や訴訟だけでなく強制執行などの手続きが必要ですが、これらを迅速に行い、確実に回収を実行することで痛手を少しでも少なくすることが非常に重要です。
もちろん、そのときになって弁護士と契約することも可能ですが、普段から内情をよく知ってくれている顧問弁護士がいることの心強さは絶大です。
顧問契約をしている弁護士は顧問先からの相談や依頼を優先的にしてくれますので、今すぐ動きたいというときにも力強いバックアップを受けられるでしょう。

・契約書作成やリーガルチェックの対応

先ほど海外との契約の齟齬についても触れましたが、海外に限らず商取引における契約書は非常に重要です。
作成する立場にあっても高度な法的知識が必須ですし、相手が提示してきた内容を隅々までチェックすることも大切になってきます。
これも顧問弁護士に依頼すれば、契約書の作成もリーガルチェックも任せることができますし、スポット契約ではなく顧問として契約していれば優先的に実務を実施してもらえるのが大きなメリットです。
契約書の作成やチェックは非常に手間のかかる仕事のため、普段の契約関係や信頼関係がないと、たとえ引き受けてもらえても期間が長引くことが少なくありません。
契約が締結できなければ事業を進めることはできないわけですから、迅速で正確な対応をしてくれる専門家がいることは、企業の業績アップにも多大な貢献となるでしょう。

・労務トラブルの対応

昨今大きな問題になっているのが労働問題です。
従業員を雇用するなら、たとえ人員数の少ない中小企業だからといって、甘く見ることはできません。
逆に従業員が少ない分、ひとたび問題が起これば企業全体を揺るがす致命的な問題にもなりかねないでしょう。
雇用時から退職後まで、企業人事は常に労務問題の発生リスクに備えなければなりません。
普段から内情を知る顧問弁護士がいれば、こうした問題が起こってから対応するだけでなく、就業規則や雇用契約書などを事前にチェックすることでトラブルを未然に防ぐことが可能です。
またもし従業員と交渉する必要に迫られたり、訴訟に発展したりした場合にも、自信を持って裁判に臨むことができます。

■法務問題は予防が重要

このように、顧問弁護士を持つことの意義は中小企業にこそ色濃くあるといえます。
法務トラブルはスピーディーな対応ももちろん必須なのですが、それよりも重要なのが事前の予防です。
トラブルが発生してから都度どこかの弁護士に依頼するとなると、まず予約を取って面談から始まり、その都度企業の概要やトラブルの説明をするところから始める必要があります。
顧問弁護士のように電話やメールですぐに相談できる関係ではありませんし、状況をすぐに把握してもらえるわけでもありません。
普段から自社をよく理解し、トラブルが起こらないよう見てくれる法の専門家がいることの心強さは、コストには代えられない大きな企業財産といえるでしょう。

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