コラム

知的財産法務に関する用語集

近年は、個人でも企業でも知的財産権を守る動きや侵害されて争うケースが目立ってきました。
知的財産法務に強い法律事務所に相談をする場合に、弁護士との間でスムーズな打ち合わせができるよう、知的財産法に関する法律用語を知っておくと便利です。

 

・意匠権

物品全体のデザインをはじめ、部分的に特徴のあるデザインや画像のデザインなど、特徴的なデザインに付与される独占排他権です。
意匠権は工業上利用できるプロダクトデザインが保護の対象となり、権利期間は登録から最長で20年、その効力は登録された意匠と同一または類似の範囲まで及びます。
第三者がデザインの模倣品を販売した場合などにそれを停止させ、排除することができます。

 

・技術評価書

実用新案法では新規性・進歩性について実体審査がなされずに、考案が登録されます。
そのため、実体的登録要件を備えない権利が行使され、第三者が不測の損害を受けるリスクも少なくありません。
そこで、権利が有効であることを実用新案権者および第三者に提供するために、客観的に判断できる資料として、登録された考案の新規性や進歩性などの有無について特許庁審査官が評価する実用新案技術評価書制度が設けられました。
実用新案権者は侵害された場合に無条件に権利を行使するのではなく、実用新案技術評価書を用いて、特許庁審査官によって権利の有効性について肯定的な判断を得てから、権利を行使することが求められます。
実用新案権を侵害する虞のある第三者も、ただ新規の考案の実施をあきらめるのではなく、実用新案技術評価書を通じて登録性について否定的な判断を得ることができれば、考案の自由な実施が認められるケースもあります。

 

・書換登録

平成4年3月31日までにされた商標登録出願に適用される旧商品区分に基づく商標権の商品区分および指定商品を、国際分類に基づく現行の商品区分や指定商品に置き換える手続きです。
旧商品区分と現行の国際分類では、区分の構成や商品の表示が異なるため、調査が煩雑で、権利範囲が不明確になりがちであるため、現行の商品区分に書き換えるのがおすすめです。
書換の手続きは登録申請が必要で、商標権存続期間満了6ヶ月から満了後1年以内に行わなくてはなりません。

 

・関連意匠制度

意匠登録出願に係る意匠や登録意匠のうちから選択した一の意匠(本意匠)に類似する意匠を保護する制度です。
平成10年の意匠法改正によって設けられた制度で、意匠権者の保護を図るため、関連する意匠群を関連意匠として登録できることとなりました。
関連意匠に登録することで、独自の意匠権が認められます。

 

・商標権

商標権は商品またはサービスについて使用する商標に与えられる独占排他権で、存続期間は10年、申請により更新が可能です。
商標としての保護対象は文字、図形、記号や立体的形状や音も含めることができるほか、効力は同一の商標・指定商品などだけでなく、類似する範囲まで広く及びます。

 

・実施権

特許発明の実施ができる権利を指し、通常実施権と専用実施権の2種類があります。
通常実施権は特許権者に対し実施を容認することを請求する権利です。
そのため、通常実施権者は特許権侵害をしている者に差止請求などはできません。
これに対して専用実施権者の場合は、特許権者と同様に権利を侵害する者に、自己の名において差止請求や損害賠償請求が可能です。

 

・審判制度

特許申請を行った際に拒絶査定をされて納得できない場合や特許・登録査定に不満がある場合に審判請求を行うことができる制度です。
3名または5名の審判官からなる合議体において、審査が適切に行われたかの再判断がなされ、権利の有効性についての判断を示してもらえます。

 

・産業財産権

知的財産権のうち特許権・実用新案権・意匠権・商標権の4つを産業財産権と呼びます。
特許庁に出願して登録することで、一定期間、独占的に使用できる権利として認められます。
産業財産権制度は新しい技術や新しいデザイン、新たなネーミングなどについて独占権を与え、模倣防止などの保護を図ることが目的です。
独占権と保護を与えることで、研究開発へのインセンティブをもたらし、取引上の信用を維持できる環境を整えることで、産業の発展を図るための制度です。

 

・職務発明

職務発明制度は職務発明の直接的な担い手である企業の従業員や法人の役員、国家公務員や地方公務員などの個々の従業者が、その雇用者や使用者などによって適切な評価を受け、発明を行ったことが報いられるよう保障する制度です。
自分の発明が評価されて報いられることで、発明のインセンティブを喚起する目的があります。

 

・著作権

著作物を創作した者などに与えられる知的財産権であり、著作者の権利である著作権と著作物の伝達に寄与した者に付与される著作隣接権の2種類で構成されます。

 

・不正競争防止法

事業者間の公正な競争や国際約束の的確な実行を確保すべく、不正競争の防止を図り、万が一の不正競争が起こった場合には差止めや損害賠償などの措置を講じることができることを定めています。
企業間の公正で公平な競争を促し、国民経済の発展を促す法律です。

 

・要約書

特許または実用新案登録を特許庁に出願する出願人は、願書に要約書を添付しなくてはなりません。
要約書は発明または考案の概要を平易な文章で簡潔に記載した書面です。
要約は公報のフロントページに発明または考案の名称と選択図とともに掲載されるため、一般の技術者が特許文献の調査をする際に発明や考案の要点を的確かつスムーズに判断できるように記載することが求められます。
そのため、要約は発明または考案の概要を代表的な実施例に即して平易かつ簡潔、明瞭に記載するとともに、明細書または図面によって裏付けられたものでなければなりません。

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